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「垓くんがここ受験してくれたら嬉しいなぁ。これからも仲良くしたいし。一緒に学校生活送れたら楽しそう」 「あの…僕…」 「ん…まぁ垓くんがそのまま今の学校で高等部上がっても他のとこ受験しても友達でいてくれたら嬉しいけどなぁ。だめかなぁ?」 またもたっぷりと艶を含んだ言い方をする彼に見惚れる 「おーい。史澗」 会話をしてると彼は名前を呼ばれその相手にぐいっと後ろに引かれた 「お前なぁ…いくら可愛いからって中学生口説くなよ。固まってんじゃん。ごめんねぇ。こいつ無駄に色気振りまくから俺も困ってんのよ。俺は穰だよ。高等部2年。よろしくね」 人懐っこそうな笑顔の背の高いガッチリしたイケメンだ。 「んもう!穰くん!邪魔しないでよぉ。今垓くんとお話してたのに!」 頬をぷくっと膨らませている姿はとても子供っぽくてこの数分でコロコロと変わる表情にドキドキしていた 「学校見学?」 彼の話を遮って穰さんが聞いてきた 「はい。」 「もう全部回った?」 「いえ」 「なら案内するよ。時間平気?」 「大丈夫です」 「よしっ。んじゃ行こっか。ほら。史澗。いくぞ」 「えぇ!俺が案内するー穰くん邪魔ー」 「だめ。お前すぐ手出すだろ?」 「出しません!」 「はいはい」 2人の何だか普通の友人っぽくない空気にもしかして… 「二人はお付き合いしてるんですか?」 なんて質問を投げかけてしまった 「あはっ!そう見える?」 「はい」 「ないわぁ…こいつ顔はいいけどこいつだけはないわぁ…」 穰くんは本当に嫌そうに顔を顰めた。 「えぇ!!酷くない?みんな俺となら一度だけでも!って膝ついてお願いするのに!」 「うん。ないわぁ…やだわぁ。絶対いや!君も気をつけなよ。見てくれに騙されちゃだめ」 すでに騙されちゃってる僕にそんな事言われても…でも一度だけは嫌だなぁ… 「あ…既に毒牙にかかってる感じ?うわぁ…お前最低だなぁ」 「えぇ!俺本読んでただけなんだけど!」 「いつも黙って大人しくしてりゃいいのになぁ。まぁ…仕方ないかぁ…」 その後二人に案内してもらってスムーズに見学を終えることができた。最後に連れてこられたのは校舎の最上階にある広めの部屋 「ここは生徒会室ね。昼休みや放課後は史澗はここか、図書室にいるよ。俺はここか…」 大きな窓の方に歩いていき指を指す 「あそこ。剣道場にいるよ。困ったらいつでも頼ってな?それと変なやつがいたら報告頂戴。俺風紀委員長なんだ。とはいえ…まず…ここを受験するかどうかと思うんだけど…まぁしっかり考えなね?自分の将来が決まるかもだしさ。人間関係とかね。まぁ俺としては…ここに来てくれたら嬉しいけどね。」 「あぁ!!穰くんだって垓くん狙ってんじゃん!!」 「誤解を招くようなことを言うな」 「まぁ、仕方ないよねぇ。垓くん可愛いもんねぇ」 「だから…はぁ…ごめんなぁ。こんなやつで。取り敢えずこいつに気をつけるんだよ」 史澗くんの肩をバンバン叩きながら穰くんが言う。 「あの」 「ん?」 「すでに遅いかもしれないです。」 「…あぁ…そうかぁ…おい。史澗どうするの?」 「ん?そうだなぁ。俺は垓くんと仲良くしたいから…お友達から…かなぁ。まだ俺の見た目だけしか見てないでしょ?お互い色々知ってからがいいと思うんだ。そこから先はちょっと考えさせてねぇ」 思ったより真面目な返答でなんだか嬉しくなってしまった。 もっともっと彼のことが知りたくて仲良くなりたくて…僕は… 「はい!」 勢いよく返事をした 「っ、!!ちょ…穰くん!!この子…この子…すっごく…可愛い」 「そうだなぁ。可愛いなぁ。癒しだなぁ」 「あぁ…もう!連れて帰りたい!」 「それはだめ!」 「えぇ!!」 2人の言い争う姿がとても楽しかった この時点で僕はここを受験することに決めた。帰宅して父に話をすると父は複雑そうだったが反対はしなかった

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