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「あっ!史澗くん!」
大好きな史澗くんだった
「うん。お疲れ様。初日はどうだったかなぁ?」
「…うーん…史澗くんの違う面が見れて嬉しかったです…」
「あははっ!惚れ直した?」
「はい」
「本当に…可愛いなぁ。でもかっこいいとこもあるんだね」
「え?」
「会長のことを思ってくれてありがとうね」
「えっ!!どこから聞いてたの?」
「ご一緒していい?くらいから」
「えぇ!!始めの方じゃん!!」
「うん」
「仕事は?」
「僕には優秀な補佐がついてくれたので仕事が誰よりも早く終わることができたんです」
生徒会役員の久遠寺さんだ!かっこいい!
「さっそくもててるなぁと思って様子を見てたんだけどね。会長をあんなやって言う人って結構多くてさ。俺はね
会長がそんな人じゃないって知ってるの。勿論生徒会の人たちもね。だけどやっぱり妬み嫉みがついてまわっちゃって。成績が常にトップなのも生徒会長なのも家のおかげって言われてて。酷い人はあの綺麗な顔で学校関係者を手籠めにしてるって言ったりもするんだよ。始めは否定して回っていたのだけれど…どんなに言ったってその噂はなくならない。だから会長はやることをしっかりこなすことを選んだ。真っすぐ悪意と立ち向かうことを決めた。俺はそんな彼を支えたいと思ってるんだよ。垓くんにも似たようなとこもあるんじゃないかなぁ。だからどういう風に対処するのか見させてもらった。もし垓くんがあの子の言うことは素直に受け入れたなら俺はもう君とは仲良くしてられないなと思ってたんだ。でも流石の垓くんだったね!」
褒められて嬉しくなる。史澗くんは微笑んで僕を撫でてくれた。
「垓くん。もう帰っちゃう?忙しい?」
「いえ。特には用はないですけど」
「じゃあ。ご褒美デートしよっ!」
そういうと史澗くんは俺の手を引きずんずんと歩いていった。
日が暮れるまでカフェに行ったり本屋さんに行ったりお洋服をみたりして夕方まで一緒にいた。
大丈夫というのに史澗くんはわざわざ家まで送ってくれた。
「じゃあ。また明日ね!あ!そうだ!これあげる」
今日のデートで巡った最後の場所。ゲームセンターで史澗が取ってくれた小さなマスコットだった。
「いいの?」
「いいよぉ。いらないならあれだけど」
「いるっ!いります!!」
「ふはっ!そんな食い気味になる?ふふっ可愛いなぁ…」
「大事にするね!」
「うん。んならまたね!」
史澗くんの背中が見えなくなるまで外で見送りをして家に入った。
珍しく父が家にいてびっくりしたけど僕の手の中にあったマスコットを見てふわりと微笑んだ。
「友達と一緒だったのか?」
「うん!」
父があの時いい顔をしなかった理由は東雲ってだけでちゃんとした友達ができないんじゃないかと心配してくれてたからって今は知ってる。
「あの学校にいかせてくれてありがとう!」
そう言ってぎゅっと父に抱きつくと父もぎこちなくだけど抱き返してくれた。
本当に大切にされてるなってずっと感じてる。
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