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学校生活は思ったよりも快適だった。
教師は僕を特別扱いしないしクラスメイトたちもあの東雲っていう気持ちはあるようだけどそれで変に接してくる人はいなかった。
あの篠田さんはあの日から人が変わったように生徒会長の補佐をしっかりこなしていた。
会長と一緒に仕事をしていくうちに考え方が変わったみたいで会長に謝罪したというのは正直驚いた。
僕がこのクラスに馴染めたのは彼女のおかげだったりもする。
彼女は誰に対しても平等だった。
会長は彼女の本質を見抜いていて彼女を任命したんだろうか?わからないけど彼女はこのクラスの中心的存在で間違いないだろう。
今日も生徒会室で仕事。
入学してから学校内では必要以上に史澗くんや穰くんと絡んでない。
理由は簡単で僕が近くにいると史澗くんの本性がバレてしまうからだ。
史澗くんは素の自分を見せるのがとても嫌いだから困るらしい。
僕の史澗くんを、好きという気持ちは変わらないんだけどもっと一緒に学校生活を楽しく送れるって思っていたからやっぱ寂しい。
とはいえ昼休みや放課後は大体一緒に過ごしてはいるんだからはたからみればよく絡んでるって思われてるんだろうけど。
史澗くんのファンは過激な人も少なからずいて史澗くんの目を盗んでは僕にちょっかいを出してくる人もいたけどそこは穰くんや他の生徒会メンバーが助けてくれたりもしてとてもありがたかった
それでもうまくちょっかいをかけてきた人たちもいたけれどまぁ自分で対処できる範囲なので特に問題視してなかったし史澗くんや穰くんや他の生徒会メンバーにも伝えなかった
史澗くんと出会って何も進展しないからまだまだ頑張らないとならないな…なんて思いながら時は過ぎていく。
気付けばもう秋でもうすぐ学園祭がある。
今はその準備が大忙しでそんな話もすることもない。
僕らのクラスは喫茶店をすることになっていて女の子たちが決めたコンセプトを元に着々と準備が進んでいた
生徒会メンバーと補佐である僕たちは交代で見回りをすることになっている。
僕は勿論史澗くんと一緒だ。
午前中はクラスの手伝いをして午後から生徒会室で待ち合わせ。
仕事とはいえワクワクしていた。
学園祭は大盛況で多くの来客があった。
息つく暇もなかった。
見回りの時間となりクラスのみんなに声をかけ生徒会室に向かっていた。
「すいません!」
焦ったような声に振り返るとそこには小柄な男がいた。どうやら外部の人らしい
「どうしましたか?」
「友人が倒れてしまって!助けて下さい!役員の方ですよね?」
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