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「どちらにいらっしゃいますか」
「えっと…あっちの校舎の奥の部屋に」
あっちの校舎は今日は展示などはない。おかしいとは思いつつ彼について向かうことにした。その合間に生徒会メンバーに連絡を入れる
「あっちは今日何の展示もないのですが…」
「すいません…わかっては居たのですけど…僕たちこの高校に憧れててて…いろんなところを見てみたくて…探検してたんです…すいません。」
「探検…」
憧れていたのなら見てみたいのもわからなくはないが…
校舎に足を踏み入れ彼についていく。
こちらの校舎には史澗くんと出会ったあの図書室と、保健室、音楽室、家庭科室、美術室、技術室、多目的ホール、あとは文化系の部活動の部室そしてあまり使われていない資料室がある。授業と部活以外使用されることは少ない。
今日はこちらで部活をしている人たちは体育館のステージなどでイベントがあるため出払っていて誰もいない。
彼が到着したのは資料室だ。たまにしか使われないため少し空気は淀んでいる。それで具合を悪くしたのかもしれない。
「ここです。彼はドアを開け僕を奥に促した」
奥に進むとそこにはうずくまる人がいて
「大丈夫ですか?」
「うぅ、っ…」
低く唸る声がした。
「すいません。お水を買ってきてもらえませんか?」
「はいっ!」
彼は大急ぎで走っていった。少しでも楽な態勢にしようと彼に触れると視界が回る
「えっ…」
相手に押し倒されていたのだ
「大丈夫…です?」
きっと具合が悪くて朦朧としているのかもしれない…
「見つけた…東雲…東雲…垓」
「え?」
僕のことを知ってる?知り合い?
身体が大きな彼に肩を床に押し付けられているので身動きが取れない。
「ちょっと…離してもらえませんか?もっと具合が悪くなってしまうかもしれない…」
男はにやりと笑うと僕に覆いかぶさった。
「やっと…サワれる」
「はっ?」
男は僕の制服のボタンを外し始めた。すんすんと僕の匂いをかぎながら鼻を擦り付ける。
…よく見ると彼に見覚えがあった。同じ中学の後輩で身体も大きくて力が強く喧嘩っ早かった人。だけど家が大企業だから周りもなかなか訴えられなかった。そんな彼には友人というものもいなくて…そんな彼のお目付け役として僕が選ばれ彼を気にかけていた。話してみるとそんな悪い人ではなくて。いいところもたくさんあって。少しずつ温厚になっていた彼には友人もできた。それにホッとしたことを今でも憶えている。
そして彼は僕に告白してくれた人だ
「…君は…」
「覚えててくれた?嬉しい…」
「なんで…こんな事…」
「垓さんにフラレて…諦めたつもりだったんだ…男は対象外って言われてたから…なのに…なのに…男とあんな…あいつとはもう色々済ませたんだろ?」
「何言ってるの?」
「やっぱりお前も俺のこと恐ろしかったんだろ?」
「離して!痛い!」
「うるさい!俺を…俺の想いを馬鹿にしやがって!」
ボタンを外すのが面倒になったのかビリビリと制服を破った。
「思ってた通り…綺麗だ…」
「やめてっ!」
彼は僕の肌に舌を這わす。初めての感覚がぞわぞわと気持ちが悪い
「やめてって!」
「うるさい!」
彼が僕の唇を防ぐ。涙がこぼれた。初めてのキスがこんな形になるなんて…
彼は僕の口の中に自分の舌を押し込むとべろりと舐め回した。
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