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「おはよ。垓くん」
「おはよぉ…史澗くん」
「おはよう。垓」
「おはよ。穣くん。昨日ごめんなさい。寝ちゃって…僕が引き止めたのに」
「昨日は色々あったんだ。疲れてたんだろうよ。体平気か?」
「うん。大丈夫だよ。史澗くんと穣くんのお陰ですっかり元気。」
「よかった。けどあんま無理すんなよ?俺はこれから部活だからもう行くけどゆっくり休んでろよ?」
既に身支度を整えた穣くんはくしゃりと髪を撫でると部屋を出ていった
リビングに行くと僕が起きる時間がわかってたみたいに朝食が並べてあった
「食べれそう?」
「うん!ありがと。いただきます」
一人で仲良く朝食を食べてそしてまた僕が求めるまま絡み合って…
その日から誰よりも近くに史澗くんとともにいたと思ってた。
恋人がするデートだってたくさんした。旅行なんかもいった。日々思い出を積み重ねてきた。いろんなことを共に分かち合って…笑いあって…時には喧嘩もして…泣いたことだってあった。だけど本当に本当に幸せだったんだ
気付けば半年を経過していて穣くんや会長はこの学校から旅立っていった。とはいえ穣くんとは会えなくても連絡は取り合ってたし、会長とは父の仕事の関係で会うたび仲良くさせてもらってた。
なかなか2人に会えない史澗くんは寂しそうにしてたときもあったけど…
そして僕は2年生。史澗くんは3年生になった。
時期が来て生徒会は代替わりをした。去年いろいろあった文化祭も何も問題なく過ぎていった。勿論史澗くんと一緒に過ごしていた
それから史澗くんは受験勉強に追われ会える日がだんだん減っていった。
会いたいけどわがままなんていえなかった。僕も僕でやることはたくさんあって…生徒会役員は結局成績順で決まるから僕たちが引き継いだ時には僕が会長となり、副会長は篠田さん。あの日ぶつかった相手とは思えないくらい今は仲良くしてて一緒にいることも多いから周りから変な噂をされたりもしたけど篠田さんには史澗くんとのことを伝えていたし、篠田さんはそんなこと周りに言うタイプでもないから多分友人たちの誰よりも気が合って安心感もあったんだ
「付き合って1年なんだぁ。何したらいいかなぁって悩んでるの。毎日」
「ふふっ。そもそも東雲くんがそんなキャラって事知ってる人もいなくなってきたよねぇ。なんだか優越感だわ」
会長や史澗くんの仕事ぶりを見てたらいつまでもふわふわしてたらだめだなぁって思って父を真似て出来るだけ厳格な会長になるように努力した。だから気が抜けるのは史澗くんたち以外は篠田さんだけになった。
「そんなに幸せそうな顔…ふにゃふにゃした顔してたらまた変なのに絡まれるよ?気をつけてねよね!」
「はぁい。いつもありがとね」
「でも羨ましいなぁ。そんな幸せな恋愛。私もしておきたかったなぁ」
「できるよ。篠田さんモテるじゃない?」
「東雲くんといることが多過ぎて誰も寄ってこなくなったわよ」
「うわぁ…ごめぇん…じゃあ無理に僕と居なくても大丈夫だよ」
「いやいや。それは仕方ないでしょ?生徒会バカみたいにやること多いんだから」
「うー…ごめんねぇ」
そうやって毎日が過ぎていくのだ
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気心の知れた友人もいて誰よりも愛しい恋人がいて…本当に幸せで楽しくて温かくて…
…ずーっと史澗くんの隣にいられると疑いもしなかったこの頃。
その幸せに日々は突然崩れ落ちていったんだ
「垓くん…もう別れよっか?」
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