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史澗side 「穣って…」 「八重山穣。穣は私のいとこなんだよね」 「穣くんの」 「そう。穣によく話を聞いていたの。久遠寺史澗っていう友人がいるって。別にあんたの話をされるだけで特に何も思わなかったんだけどまさかその久遠寺史澗がこんなとこにいるなんて思わないじゃん。だから穣に聞いたの。おんなじ名前の人いるけどその人はこの大学なのかぁ?ってんで写真も送ってくれたんだけどその写真のあんた相当美人じゃん。だからあんたと穣が大切だっていう友人が同一人物なんて全く思わなかったのよね。だけど無理してそうだから様子見ておいて欲しいってお願いされたときあぁ同じ人なんだなぁって」 「…穣くんのおしゃべり…余計なことを…」 「あんたに穣の文句を言う筋合いはないね。だけど穣が大切ないとこだから私は穣のためにあんたの世話を焼くことを決めた。でまずは飯からってね。安心して。それ手作りとかじゃないから変なもん入ってないよ。手袋も一応してまぁす。他人から食わされるの嫌なら私が飯持ってきてあげるから自分で食べなよ。ね?」 手袋をした両手を上げてにやりと女は笑った。 「その微妙な気遣い何?…流石穣くんの身内なだけあるね。…その顔も…穣くんにそっくり」 「でしよ?私たちいとこなのに兄弟よりも似てるのよ。良く間違われてたよ。よくこれまで気づかなかったわねぇ。こんなに似てるのに。それだけあんたは俯いてるんよ。だからほら。顔上げてまず飯を食って。私に見られてんの嫌なら私出ていくし食べたら片付けに来るから置いといて。じゃね」 「あ。ねぇ。名前は?」 「アゲハ。黒蔓アゲハ。夜の人みたいでしょ?あながち間違っちゃないわ。夜はキャバクラでバイトしてるしうちの親二人とも夜街の人間だから」 「別にそんなことまで言ってないし聞いてないけど?あのさ。ありがとう。アゲハさん」 「穣の頼みだからね!」 その日から彼女はご飯を差し入れてくれるようになって俺もおとなしく飯食って休むようにもした。みるみる健康を取り戻せた。それをなぜかアゲハさんの方が喜んでた。 そんなアゲハさんがいつしか隣にいるのが普通になってた。あまり目立たないタイプの俺と目立つアゲハさんが一緒にいるのが珍しくて心配してくれる人間も増えた。 「あははっ!私があんたをいじめてるって心配されたの!ウケる!まぁでもそう見えなくはないかもねぇ」 アゲハさんは見た目が派手だからあることないこと噂される人だった。だけど本人は全く気にしてないしなんだかんだ誰よりも勉強もできるしでみんな大きく出られないのだ 「俺が否定したとこで誰も信じてくれないしねぇ。アゲハさんに脅されてるとか言われるの!面白いよねぇ」

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