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葬儀の日。俺の涙は枯れることはなくてずっとずっと泣き続けた。そんな俺に対して万里は京華ちゃんの遺影を真っ直ぐと見据えて立っていた。
あぁ…やはり万里は…
只管泣き続ける俺を周りは哀れんで見ていた。
翌日その姿がニュースで大きく取り上げられた。その大半はその姿が美しいという報道だった。
最愛の妻を失った御曹司の悲痛な叫びなんて見出しで俺の姿が大きく出てた。
ねぇ。そんなのの何が面白いの?
人が一人亡くなったというのに…どっかのバカがその姿を元にして本を書くとかドラマ化して欲しいとかふざけたことを言ってたりもしてた。
もう放っておいて欲しい…なんで…こんな目に遭わなければならない?家を出ればマスコミに囲まれる。京華ちゃんのことを静かに思うことすら許してくれない
そんな中には最低だと罵る人間もいた…殺したんじゃないかと言ってくるような人間もいた…家庭を顧みない最低な夫だと…病気を知ってて放置していたのではないかと…家庭内暴力があったんじゃないかと…子供は好感度を上げる道具でしかないと思っていたのではないかと…
俺は家から出ることができなくなり寝食もままならなくなった。このままでは万里も傷つくことになってしまうことがあるかもしれない…両親が万里を預かってくれることになった。
「パパ…大丈夫?一人で平気なの?」
「大丈夫。万里。あのね、ここにいると外にたくさんの人がいてすごく嫌な思いをすると思うんだ。だからね、じいじとばあばのところに行っててくれる?」
万里は実家に預けそこに京華ちゃんの両親も、来てくれることになっていた。責められてもおかしくないのに彼らは俺を責めなかった。、それがまた、さらに俺を追い詰めていた。罵ってくれればよかった…娘を殺したのはお前だと…だけど…彼らはそうじゃなかった。大切な娘を失ったのに…
「万里…ぎゅってしていい?」
「うん…あの時…あんなこと言ってごめんね…」
「ううん。万里は何も間違えていないよ」
「パパ。寂しくなったら僕を呼んでね?」
「うん。ありがとね。じゃあ。行ってらっしゃい!」
万里を送り出した後俺のところには穣くんがきてくれた
「垓」
「穣くん…」
「飯食ってんのか?」
「うん。食べてるよ?大丈夫。」
「寝てるの?」
「大丈夫。寝てるよ」
「社長がゆっくり休めって。会社の方は大丈夫だって言ってた。だから今はゆっくり休めよな?」
「うん」
穣くんは俺や史澗くんと同じ頃結婚してて万里や、千里くんより2つ年下の男の子がいる。奥さんは豪快ではつらつとした人だ。
「落ち着くまで俺ここに通うから」
「大丈夫だよ。穣くん。だって那由多くん待ってるでしょ?万里みたいに寂しい思いさせたくないよ?」
「…じゃあさ…」
その時来客を告げる音がした。穣くんが出迎えてくれたそこには
「史澗…くん」
「垓くん…あーあ。そんなやつれちゃってそんなんじゃ京華さん心配しちゃうじゃない?」
史澗くんがいたのだ。
「垓くん。おいで」
史澗くんが両手を広げた。その胸に迷わず飛び込んだ。
もう、涙も枯れたと思っていたのに…
史澗くんの広い胸の中で声が枯れるまで泣いた。
「穣くん。垓くんには俺がついてるから…大丈夫だよ。ね?」
「史澗くん。千里くんは?」
「千里は兄夫婦や両親だけじゃなくて穣のとこでもみてくれる。みんなで今は垓くんのとこにいてあげてって言ってたから大丈夫だよ。千里も遊んでくれる人がたくさんいるから楽しそうだったよ。安心して」
史澗くんが背中を撫でてくれた。
「垓くん。まずさご飯食べよ?作るから待ってて」
「…うん」
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