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「良かった…全部たべられたね。次は…片付けておくからお風呂いっといで。ね?」 「うん」 史澗くんも、まだまだ辛いはずなのに僕の世話を甲斐甲斐しくしてくれた。 泣くのはもう終わりにしなくちゃ…そう思うのに涙は止まってはくれなかった。 史澗くんはそんな僕の側にずっといてくれた。 「ねぇ。垓くん。こっち見て?」 史澗くんは僕の頬に両手を添えてそっと顔を近づけた。 「垓くん。どうしたい?」 「…キスして欲しい…」 「ん…」 何も考えたくなかった。今は何も。だから優しい史澗くんを利用したのだ。 「史澗くん。足りない」 「わかった」 史澗くんは飽きるまで何度も何度もキスしてくれた。 「垓くん」 史澗くんがぎゅっと抱きしめた 「俺たちは違う道を歩いたね。その選択は間違ってなかったよね」 「うん。こんなに幸せで愛おしい時を過ごした」 「そうだね。俺も同じだよ。俺たちは今片割れがいなくて不安定な状態だね。だから…今は誰よりも近くにいなくちゃ。隙間がないほどくっついてぎゅっと、してようね。きっとその姿をアゲハさんも京華さんも笑いながら見てるだろうね。仕方ない人たちだって」 「うん。愛してたよ。本当に…京華のこと…」 「俺もアゲハさんを愛していたよ」 「だけど…今は…史澗くんで満たして?」 「後悔しない?」 「僕はしない」 「…わかった」 そうして僕たちは禁忌を犯したんだ。 俺が家族で過ごしている神聖な場所で…もう二度と手を取り合ってはならない相手のはずなのに…だけど今は甘い空気に飲まれていたいんだ。現実から目を背けて夢の中に留まっていたいんだ きっと僕たちはこの大きな罪をいつか償うことになるのだろう。だけど今は… ドロドロに溶け合って混ざりあって何が何だかわからないくらい我を忘れて互いを求め合うんだ 今の僕たちには必要なことだった。 そうやって10日ほど共に過ごし史澗くんも僕も現実へ戻っていった

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