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第4話
「…ということなので、異例にはなりますがもう一度寮部屋を決め直したいと思います。」
どういうことでだよ。
俺がカースト制度のことについて話してるうちにめちゃくちゃ話進んでたわ。
まぁ、なんでもいいけど。
決め直すのか…
俺は今、ソルトと同部屋だからあまり気が進まないが上位者の言うことはぜったいなのだ。
カースト制度こえーね…
「ここはまぁ、公平にということでくじ引きとさせていただきます。
くじ引きを交換するのは禁止です。正々堂々一発勝負で男気を見してください。」
ここに来てくじ引きかぁ。
寮をくじ引きで決めるって斬新だな。
おしっ、俺の運の女神よ!どうか怖い人と同じ部屋だけは勘弁してくれ。
いやほんと、切実に。
できれば親衛隊付きイケメンも避けたい。平凡な普通な常識のある良い奴が当たりますよーに!
「シュガー、引きに行こ」
「おう!」
「そこのやつにクラスと出席番号名前を言ってからくじを引いてください。」
そう言った寮長の隣にはこれまたピシッパシッな男一人。誰かは分からないけど、成績がいいことはよく分かる。
まぁ、こういうのするのって成績がいい人だけだしね。
上位者ではないっぽいけど。
それぞれ名前を言ってからくじを引いて定位置に戻った。
まだくじは開けてはいけないらしい。
「それでは、全員引けたみたいなので一斉にくじを開けてください。」
ガサガサという音とともに叫び声や同じ部屋の者を探す声が次々と聞こえてきた。
俺達はまだ開けていない。
開けた先が天国か地獄か…
寮の部屋は俺たちの運命を大きく左右するのだ。
「せーのっ」
ソルトのその一言で俺は自分のくじを開いた。
一体何号室だと、紙を見た瞬間俺の危険信号ブザーはけたたましく鳴り響いた。
そしてそれはソルトも同じだったみたいで。
俺達は仲良く顔面蒼白にして見つめ合う。その理由はただ一つ。
俺たちの紙には、部屋番号なんてひとつも書いてなく、何度見ても花丸がでかでかと書かれているだけだった。
「紙に花丸が書いていた方はおめでとうございます。大当たりです。
説明しなくても分かりますよね?」
大当たり。すなわちカースト上位者と同部屋、もしくは余り組か。
上位者が拒否した場合は俺達は余り組になる。だが、上位者が指名した場合は俺達に拒否権などなく同部屋になる。
その時、体育館のギャラリーに立っていた1人が寮長に向かって叫んだ。
「前島。俺、そいつ貰うから」
そいつ、とさされたのは俺で、
信じたくない現実が目の前にあった。
「うはっ。まじか〜!じゃ、俺もその隣の子もらうね〜」
俺をさしたヤツの隣にいたヤツが面白そうに笑ってソルトを指名した。
拾われた。2人仲良くとか聞いてない。
そして、俺は今1番思い出したくなかったことを思い出した。
カースト上位者の3人のうち2人が校内最強と言われている不良なのだ。
こうして冒頭の場面に戻るわけだけど…
俺とソルトは2人して目をぱちくりさせた。周りはものすごくザワザワしている。
寮長だけが何故か楽しそうに笑っていたが。
「もちろんいいですよ。でも、あなたが貰うだなんて。珍しいことこの上ない。
今日は傘を持ってきていなのに…」
それに対して俺の事を指名したヤツは中指を立て、寮長に死ねと一言返してギャラリーから俺たちの方へ降りてきた。
あまり行儀は良くないらしい。
ギャラリーにいる時は髪の毛の色ぐらいしか確認できなかったが、すごく整ったお顔立ちをしてらっしゃる。
その隣のヤツも同じく。
身長も俺より高い。170後半ぐらいか?
「おい、戻っていいか?」
「仕方ありませんね。そ後日、私が直接お会いしましょう。説明しなければならないことが沢山あるんですよ」
「さんきゅ」
「大丈夫ですよ。気にしないでください。」
「まちゅありがとね〜!」
「まちゅは辞めてくださいね。話が進まないので早く行ってください」
「あははっ。んじゃ、また。連絡するね」
「早めにお願いしますね」
終始無言で下を向き、たまに目で会話をしていた俺達は金髪さん達と一緒に体育館を出た。
俺達が出た瞬間体育館はまたざわざわを取り戻し、寮長のお叱りが飛ぶのであった。
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