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第7話
食堂に行くとみんなが座っているところではなく階段で上がって食堂の全体を見渡せるところに連れていかれた。
確かだけどここはカースト上位者しか入れない場所だった気がする。
至れり尽くせりだなぁ。
カースト制度やっぱこえよお…
てか、ここ俺が入っていい場所なのか?
「む、ムギさん…!俺ってここ入って大丈夫なんですか?」
「俺が連れてきたんだ。文句言うやつはいねーよ」
「ソウデスカ」
「シュガー、お前何食べる?」
「あ、軽いものでいいです…って財布持ってくんの忘れました」
今から取りに行ってきます、って言おうとしたらムギさんが静かに首を横に振った。あー…なるほどね…
「…そういうことですか……」
「そういうことだ」
簡単に言うとここは上位者専用のフロアだってこと。ここで頼むご飯は全て学校側が免除してくれるみたいだ。
知らなかったことがたくさん目の前に転がり込んできて、俺の頭はパンク寸前だ。
俺たちの座った席にウェイトレス(?)みたいな人がきて、ムギさんが何か注文していた。
そんな流れるような作業を見て慣れてるんだなと思いつつ、ムギさんに少しの恐怖を抱いた。カースト制度に慣れてしまった時から常人とは言い難くなる。
もう既に、この学校に飲み込まれてしまっているのだ。
だからきっとムギさんも普通の人ではない。そしてそれは俺にも当てはまる。
この狂ったようなカースト制度をみて、特に不思議に思わない俺ももう手遅れなんだろう。
こういう時こそ臨機応変に、だ。
あんまり暗い雰囲気は好きじゃないから、影を最大限まで薄くしてどうか平々凡々な生活を遅れることを願っておこう。
「…ガー、シュガーっ」
「へっ…?」
「聞いてるのか?」
「あ、ごめ、聞いてなかった…」
「人の話は聞け」
「イテッ…」
少し呆れた顔をしたムギさんからデコピンが飛んできた。そんなに痛くはなかったが条件反射で声が出てしまうのだ。
仕方ないでしょ…!
「ぼ、暴力変態です…!!!」
「誰が変態だ」
「イテッ」
ダメだ…!無限ループだ!
ループループする…じゃねーよ!!
どうしたらいいんだこの状況…!
でも、やっぱりそんなに痛くないんだよ!
優しいよ!ムギさんすっごい優しい!
そうだよね!だって、良だもんね!
「ククっ…なーに1人で百面相してんの」
「え…してました??」
「うん、可愛い顔いっぱいしてた」
いや、破壊力!!
ねぇ!破壊力どうにかして!
何が、可愛いだよ!!
馬鹿にされてるのわかってるけど!
わかってるけどイケメンなんだよ!
微笑むな!惚れちゃうから!
「な、、!!可愛いいとか男に言う言葉じゃないですって…!」
「ふはっ、知らねーよ。ほら、飯きた」
「ちょ、話そらすのやめてください!」
「冷めるから早く食べるぞ」
「っ…わかりましたっ…」
ここは大人しく引き下がることにした。
全く聞く耳を持ってもらえないし、母さんから食べ物は粗末にするなって言われてるからね。
ムギさんは静かにいただきますといって食べ始めたので、俺もあとを追うようにいただきますといってお箸を手に持った。
俺は食が細い方なのであんまり食べないのだが、ムギさんは俺の要望通り軽めのご飯を頼んどいてくれたみたいだ。
つくづくいい人だなと思う。
「ぅんまいっ…」
口に含んだその料理は物凄く美味しかった。こういう時だけは本当に上位者が羨ましくなる。
「そんなにか?」
「そんなにですよ!!舌麻痺してるんじゃないですか…??」
「ん…そうなのかもしれん…」
ええ…そこは否定してもらいたかった…
やっぱいい所のお坊ちゃんとかなのかな?こんな見た目してるけど…
でも、そうなんだろうな…西高に入学してるぐらいだもんな。
西高はまぁ、一応セレブ校に分類されるんだと思う。一応とつけたのはそんなにセレブじゃなくても入学できるのと推薦で入学する人も多いからだ。
ちなみに俺は色々あって西高に入ることになったんだけどまぁ、気にしなくていいよ。
「ムギさんは…」
「ん?」
「ムギさんは、どっかいい所のご子息だったりするんですか…??」
「あ〜…そうだな、そのうち分かると思う」
「なんですかそれ」
「今は言いたくないってことだよ」
なーんだ。教えてくれないのか
「そーですか」
「じゃ、逆に聞くけどシュガーは?」
ムギさんのことは教えてくれないくせに俺の事を聞こうとしているのは少しおかしいと思い、口をとんがらせた。
「ムギさんが言ってくれた時に言いますっ」
「ククっ…すねてんの?」
馬鹿にされてるとしか思えないその態度と余裕に何故か敗北感を感じる。
悔しいっ…全てにおいて負けている気がするんだ、俺
「すねてないです!!」
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