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第8話
すねてんじゃんとムギさんが本格的に笑いだしたところでソルト達がご飯を食べに来た。あっちはあっちでなんとかやってるみたいだ。
「あ、ムギとシュガーちゃんじゃん!何楽しそうなことしてんの〜?」
「シュガー!さっきぶり」
「さっきぶりー」
「ムギ〜、なんの話ししてたの?」
「俺の家について話してた」
「ムギの家?」
「そう。シュガーが教えてって言うからさ」
「ムギの家って言ったらあれじゃん!かの有名な───!!!」
「だまれ」
ハクさんが言葉を発する前にムギさんが自らの手でハクさんの口を抑えた。
「んんんっ!!んっ!っぷはぁ!ひっどいなぁ…!言っちゃダメなの?」
「ダメではないがお前の口から言われるのは気に食わねえ」
「何それ、ムギのくせにかんわい〜。そうだよね、自分の口でちゃんと言いたいよね」
明らか馬鹿にしているハクさんにムギさんは睨みつけ舌打ちした。
「うるせえ…」
「ははっ!せいぜい頑張りたまえよ!へ・た・れ・!!!」
「くたばれ」
ハクさんとムギさんはかなり気のしれた仲みたいだ。ソルトも俺も完全においてけぼり。
どう反応したらいいんだよこれ…
と、そんな所へ現れたのは数時間ぶりの寮長だった。
「おや、皆さんお揃いで」
「あ、まちゅ」
「まちゅは辞めてくださいねって言った記憶があるのですが、葉栗さん?」
「え、言ってたっけ?」
「えぇ、言いました。」
「忘れてたわ!めんご!まちゅ!」
あぁ、やばいよ
やばいよやばいよ!寮長の顔がどんどん引きつってきたよ…!
もしかしてハクさんって寮長の天敵か?!あの、心が広くて優しそうな寮長を怒らすなんて…!
「前島、そんなに怒んなって」
そんな寮長に気付いたムギさんがすかさずフォローをいれた。ナイスムギさん!!
「いえ、怒ってないですよ、全く」
うわぁぁ、やっぱりめちゃくちゃ怒ってらっしゃる…怖いよ…目が全く笑ってない!
ガチの顔をしてらっしゃいますの!
そんな寮長と目が合った瞬間俺はあることを思い出した。
確か学生書にも載っていたような気がする。ルールにあまりうるさくない西高にあるルールの1つ『カースト上位者の前では必ず起立すること』。
まぁ、確かに例外も含むけど大体はこれを守らなければいけない。
俺には少し理解がしがたいんだけどそういうルールらしい。上位者だからもちろんムギさんとハクさんも含まれるんだけれど、フレンドリー過ぎて忘れてた。
ほかの学年もこんな感じなのかな?
前に3年生の上位者をちらっと見た事あるけどなーんか怖いイメージしか持てなかったんだよね。それよりもルールはルールだかんね。立たないと…
「あ、大丈夫ですよ。座ったままで結構です。と言うより、佐藤さんと塩崎さんは例外です。」
俺がしようとしていたことを見越したかのように寮長は俺を制した。
少しびっくりしたけどまぁ、気にしない気にしない。
「どういうことですか?」
なんで例外なんだ?
俺もう2年生なはずなんだけどな…無知すぎる。多分俺より1年生の方がカースト制度について詳しいな。今まで無関係すぎたせいで…
「そうですね…ではお揃いのようですし、ご説明をさせて頂きましょう。大丈夫ですね?麦野さん葉栗さん」
「あぁ、問題ない」
「全然OK!けど俺とソルトちゃんはご飯食べながらでもいい?まだ食べてないんだよね」
「構いませんよ。ありがとうございます」
程なくして、ハクさんとソルトにはご飯が俺とムギさんと寮長には紅茶が注がれた。すんげぇ快適だね。
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