｢ほらシュガー、行くぞ。遅れる。｣ ｢え、行くんですか？｣ ｢何が行くんですか？だこんにゃろ… 俺もお前と同学年だよ…！｣ ｢いや、それは知ってますけど…行くと思ってなかったので｣ ｢俺だって学校ぐらい行くわ｣ ｢イテッ…｣ 毎度お馴染みのデコピンが、今日も今日とてクリティカルヒット。 ってそんなに痛くないんだけどね。 でもさ、ずっとやられ続けたら、いつかへっこむんじゃないか？ こんなこと言ってたら、またムギさんにバカって言われるな… ｢でも、ムギさん学校行って何してるんですか…？｣ ｢寝てる｣ ｢えぇ…！ 別に行かなくても大丈夫じゃないですか！ てか行く意味あるんですか？！｣ ｢んー、暇つぶし？｣ ｢…俺に聞かないでください……｣ ｢俺だって知らねーよ。行きたい時に行くの。ほら、行くぞ｣ ｢…わかりました｣ まさかのカースト上位者(不良)と朝、一緒に登校するなんて入学したての可愛かった俺は思いもしていなかっただろう。 横を見ると破壊力の塊なイケメン。 こんなイケメンと登校するのも、思いもしていなかったことだ。 ムギさんという存在自体が非現実的すぎて笑えてくる。 俺が大当たりを引かなかったら、絶対に関わることの無い存在。そんなムギさんのことをもっと知りたいと思うのは当然な感情のような気がする。 ｢じゃ、お昼に寮な。いい子にしとけよ｣ ｢っ！いい子ってなんですか？！｣ 微笑むな！！ 自分の破壊力を理解して欲しい！ これ以上は俺の心臓に悪い！！ イケメンなんだよお！！くそお！悔しい！ ｢ククっ…大人しくしとけって意味だよ｣ ｢言われなくてもしときます！ …1人で待つの嫌いなんで、遅くならないようにしてくださいね？｣ ｢仰せの通りにプリンセス｣ ｢……はやく教室行ったらどうですか？｣ ｢無視は酷くねーか、シュガー｣ ｢なんのことかよくわかんないです｣ ｢気持ちいいぐらいに白々しいな。｣ ｢なんのことかよくわかんないです｣ ｢ははっ、わかったわかった。俺の負け｣ ムギさん！あんたは一生笑うな！！ 俺が死んじゃうから！ ダメだ…なんかムギさんの顔、俺の心にクリティカルヒットだよ… ちょータイプかもしんない… あ、男としてだかんね？分かってるよね？憧れてるだけだよ？ あと、目の保養かな。会って2日目だけど、既に目の保養枠だよ。