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第8話

「東京で拝み屋やってれば、そこそこの金になる!」 「拝み屋ってお金になる?」 志童が半信半疑の顔で聞いてくる。 「まあ、競合はほとんどいないし、需要は一定量あるからな」 「へえ、そんなもん?」 「ああ。大企業か政治家でもカモにして、楽して稼ぎたいもんだな」 「それ単なる天心の願望じゃん。芋とか蜜柑の方がよくない?」 「バカ言え、そんなわけがあるかよ」 それはともかくとして、大学を出て2カ月、俺は手につけた職でなんとか身を立てるつもりでいた。 宣伝用のウェブサイトも作ったし、家も学生用のアパートを引き払い、客を通せる事務所兼自宅マンションという感じの物件に引っ越した。 「なあんか心配」 志童がまだ言ってくる。 「そういうお前こそどうなんだよ? 就職は」 聞くと彼の表情が、ますます曇った。 「実は俺、まだ学生なんだよね。大学5年目」 「……は!?」 志童は村から2時間かかる街にある、そこで唯一の大学に通っていたはずだ。 親に負担をかけたくなくて近くの大学を選んだくせに、留年して学費が余計にかかっていては意味がない。 「人の心配してる場合じゃないだろ、早く帰って勉強しろ!」 「えー……」 「ああ、次から来る前に連絡しろよ? こっちにも都合がある」 仕事用の電話番号が書かれた名刺を押しつけ、俺は志童を置いて公園を出た。

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