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第11話

「ひっ!!?」 けれど痛くない。志童は優しく甘噛みして、首筋に舌を這わせてくる。 「やっ、は……やめろ!」 「天心、涙目になってる。その顔かわいい」 「このエロ犬――…んっ、ふ」 キッと睨むと今度こそ唇を奪われた。 ぬるりとしたキスの感触に、呆然となる。 「天心、好きだ、えっちしたい」 「その話は4年前に断った! ってかキスしたな!? このやろー!!」 「俺たちの関係ちょっと進んじゃったね?」 「ニヤニヤすんなー! こんなのっ、俺は認めないからな!」 ホールドされたまま体の後ろで両手を合わせ、印を結ぶ。 人間相手に放っていい技じゃないが、この際仕方ない。 「臨・兵・闘・者……んんっ」 顎をつかまれ、また唇を押しつけられた。 「……っ、こら! キスで詠唱(えいしょう)止めんな!」 「天心、顔真っ赤……」 怒りに血がのぼっているのか、キスにドキドキしているのか自分でもよく分からない。 「どうしよう、かわいい。ほんと好き!」 (コイツ……、本っ当にぶっ飛ばしてやる!) 幸い俺もここ数年で、詠唱なしでも九文印(くもんいん)の力を発動できるくらいにはなっている。 そして1分後。 俺はコイツを病院送りにしない程度に、ぶっ飛ばすことに成功した。

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