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第14話
「分かるよ、天心は優しいもん。あの時無理に迫ったのは俺なのに、俺のこと避けてる天心の方が罪悪感を感じてる」
(なんでそんなことまで分かるんだよ……)
今書いた霊符の効果なのか、志童が妙に冷静で困る。
「天心、それでも俺はお前のこと、すごくすごく好きなんだ」
「……っ、バカだな!」
思わず自分から手を伸ばし、志童の髪を撫でた。
「あっ……」
志童が顔を歪める。
「なんか……体が重いかも?」
触れた指先から、犬神の妖気の乱れが伝わってきた。
「霊符の効果だな。お前ちょっと寝てろ、ここからは体力勝負になる」
そんな時、タイミング悪く事務所の電話が鳴りだす。
電話を取ると、それはこの前の化け狸がまた出たという知らせだった。
(くそっ、今はコイツについててやりたいのに!)
「大丈夫? 天心……」
電話を置いた俺の顔を、志童が気づかうように覗き込んでくる。
「悪い、ちょっと仕事だ」
「えっ、今から!?」
「ああ、お前はいい子に寝てな」
心配そうな視線を振り切って、俺は事務所をあとにした。
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