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第18話
「……っ!」
「天心さあ、今めっちゃ隙だらけなんだけど。俺、襲ってもいい?」
上気した顔でそんなことを言う志童は、耳も尻尾も完全に出てしまっている。
(あーこれはもう、力では逆らえないやつだ……)
彼は俺の答えを待たずに、勝手にベッドに上がってきた。
俺の両耳の脇に腕を突いたコイツは、下から見るとやっぱりデカくて威圧感がある。
「怖い」
「何が?」
「お前に襲われんの」
真上から見下ろしてくる顔が、くすぐったそうに笑う。
「でも今、そうしてもいいって思ってるでしょ?」
そんなこと聞かれても、俺にはよく分からない。
ただこの見慣れた大型犬を、抱きしめたいという思いはあった。
俺は自から彼の首に抱きつき、耳元でささやく。
「俺はゲイじゃないから」
「うん」
「だからこんなこと許すの、お前だけだ」
「……っ、すごく嬉しい」
志童は息を乱し、俺の着衣を緩めていく。
(いま何時? 飯食ってないよな?)
俺は緊張のあまり違うことを考えながら、その不器用な手に身を委ねた。
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