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痛みと歓びとー9(R)

「いいよ、先生……。高柳の言う通りでっ」 「でも…」  だって言うとおりにしないと、きっと先生はこれ以上俺を抱いてはくれないだろう。高柳は最初からそのつもりで俺を連れてきたんだ。  それが分かっていても、設楽は山中に抱いて欲しかった。もうずっと山中を想い続けてきた。2年半付き合っていた彼女とも別れ、1度で良いから山中に触れてみたい、抱かれてみたいと、ずっと思っていた。山中が高柳とできていることも、その付き合いが半端な物ではないこともよく分かった。自分が割り込む隙間がないことも。  ……いや、割り込む隙間は、今なのだ。  今なら、高柳の玩具としてなら、俺は先生に抱いてもらえる……。  先生は、玩具として抱かれる俺を不憫に思っている。申し訳なく思っている。先生が俺に対する罪悪感でいっぱいになるのなら、それが例え愛でなくても、俺を想って先生の中をいっぱいにしてくれるなら、俺は何でも構わない。先生が今ここで俺を抱けば、もう俺から目を逸らすことはできなくなるのだ────。 「俺、もう我慢できないよ。だから、だから先生、高柳の言う通りで良いから、早く俺を抱いて……!」 「……でも……」 「先生!」  山中は少し躊躇ってからきゅっと唇を噛みしめて、それからそっと中指を動かした。 「ん……」  山中が中指を動かすと、高柳も中指を動かす。前立腺を揉みしだかれて設楽が喘げば、山中も喘がされる。なんだかすごく、山中と一つになっている気がした。  中に挿れられた指が2本になり、時間をかけて3本に増えた。相変わらず圧迫感と違和感はひどいのに、それを与えてくれるのが山中だと思うと、設楽はひどく幸せだった。 「ん、設楽、痛くない、か……?」  先生も同じ事されてるんだ。  同じ事されて、先生も感じてるんだ。  そう思うと、ひどく感じた……。 「だい、じょうぶ……。先生、もう、挿れて……?」 「なんだよ設楽、お前、やたら可愛いな……」  山中が小さくと笑って、もう1度額にご褒美のキスをくれる。  あぁ、俺は、先生が好きだ……。  先生の指が抜けていき、その代わりに熱い物が触れた。  心臓が、今迄聞いたこともないほどでかい音で鳴っている。  先生のだ……。  触ってみたかった。本当は、高柳みたいに舐めてみたかった。その熱く脈打つ物が、設楽の入り口に宛がわれている。  設楽はそっと手を伸ばして、それに触れてみた。一瞬、山中の動きが止まった。驚いたような顔で自分を見つめている。  思わず、設楽は笑った。多分それは山中から見たら泣き笑いにしか見えなかったろう。でも設楽は嬉しくて、自分の体に押し入ろうとしてる山中の愛しい半身の形を、指で辿った。 「先生のだ……」 「なんだよ、触りたかったのか?」 「うん、触りたかった……」 「じゃあ後で、好きなだけ触ってみろよ」 「マジで?すげぇ嬉しい……」  山中が困ったように笑うと、体を乗り出して、今度は唇にキスをしてくれた。  啄むようなバードキス。  嬉しいと思う間もなく、ぐっと押しつけるように山中が入ってきた。 「ひぁ!」  指とは比べものにならない圧倒的な熱さと確かな質量に、一瞬息ができなくなる。  大きく開いた脚の間に、山中が自分の中に沈んでいく様子が見える。息がうまく吸えなくて、よけいに混乱した。 「設楽、設楽、息吸って。大きく吸って!」  山中がもう1度唇を重ね、息を吹き込んでくれる。  先生の舌。先生の息。先生の……先生の……。  頭の中がギリギリとする。苦しくて、痛くて、辛くて、でも嬉しくて、設楽は山中の背中を掻き抱いた。  ────その時。
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