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痛みと歓びとー10(R)

「あっ!」  いきなり唇が外れ、山中が小さく叫んだ。  驚いて目を開けると、山中の背中越しに屈み込んだ高柳と目が合った。 「やめろ…!まだ設楽馴染んでないだろ……!」 「啼けよ、ユキ。設楽に合わせて、お前も啼け」  俺に合わせて……?  そうだ。  先生も、今俺と一緒に……!  そう思うと、いきなり設楽の頬が火照った。頬だけではない。痛みに萎えた下半身までもが、急に勢いを盛り返す。 「先生、俺、先生と一緒に、感じて…んっだよね?先生も、先生も、痛い……?」 「う、ん……、やっぱり最初は痛いな……。つうか、ゴメン、初めてなのにこんな……」 「俺、嬉しい……。先生と、一緒に……」  メリメリと体を拓かれる痛みまでが嬉しい。山中と同じ痛みだと思うと、それだけで達きそうになる。 「高柳、まだ動くな…っ!設楽が馴染むまで待て……!」 「っ…、了解っ」  前を締め付けられる快感と、後ろがいっぱいになる充足感に、山中は眉を寄せてぶるっと頬を震わせた。  あぁ、先生が感じてる……。こんな先生の顔が見られるなんて……。俺の上でこんな顔をするなんて……!!  だから、山中がそっと動き始めた時には、もう設楽は痛みよりもフワフワとした気持ちが上回って、体の快楽よりも心の快楽が強くて、幸せで幸せで幸せで幸せで、例えそれが高柳の思惑通りだとしてもそんなことは構わなかった。  先ほど感じた場所を抉られる。下半身を上下に扱き、唇を合わせ、優しい声で何度も「可愛い」と言ってくれる。  先生が、俺を悦くしてくれるために……。  体の痛みなど、何ほどのものだろう。 「あぁ、先生……先生、俺のこと、もっと俺のこと先生の物にして……!」 「設楽、可愛いよ、んっ…設楽……」  時々高柳が腰を入れてくるのか、山中の動きが乱暴になる。そのたびに山中は小さく高柳の名前を口の中で唱えた。  でも、それは本当に微かな声で、山中が必死に声を抑えて自分に聞こえないように歯を食いしばっていると思うと、嬉しくて涙が出そうだった。 「あ、あっ、設楽……しだ……ん、あ、んん……たか……はっ」 「先生、先生…っ!」  もっと愛されたい。   もっと先生に愛されたい。  先生に抱いてもらうためなら、何をされても構わない……! 「先生、好き……っ!先生、先生……!」  どんどん追い立てられるように何かが迫り上がってくる。  まだ来ないで。まだ達きたくない……。まだ先生に抱いていて欲しいのに……! 「先生……や、んんっ……あぁあぁぁ!」  頭の中が真っ白くなった。初めての感覚に体ごと持っていかれる。指の先まで痺れるようだった。  設楽が白濁を撒き散らしても、山中はまだ設楽の中で、高柳に揺すられて腰を振っていた。 「ごめっ、設楽……んっ、俺……あぁ!や、高柳!」 「ユキ、ユキ、達けよ、良いから!」 「あぁっ!んくっ……は、あぁっ!」  射精してクリアになった視界に、山中の欲情に染められた顔が映っていた。  設楽は山中頭に手を回して抱き寄せ、唇を合わせて舌を絡めた。  決して「高柳」と、叫べないように────。

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