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第2話

Ωのコミュニティ、αに嫁ぐ前の裕福な家庭の出のΩが集まり情報交換をする。 そこにはα側やΩ側の利害の擦り合わせ等の情報がいっぱいだ。 俺も裕福な家庭で育ったΩではあるが、完全に行き遅れでこのコミュニティで最長老だ。 お陰で情報だけは多く持ち重宝されるが、相変わらず良縁に恵まれる事は無い。 コミュニティでも陰で笑われているのも知っている。 プロバスケットボール選手並みの高身長、αの平均身長よりも遥かに高い俺の上背。 顔も厳つく目付きが険しい。 肩幅もあり筋肉質な身体は完全にΩのイメージからかけ離れており、家族からもαと番う事を諦められている。 発情期に何度かαと妻わせられ、性交渉もしたが妊娠する事も叶わなかった。 正常というより過多な俺の発情期は二月に一度やって来て、10日〜12日間ある。 発情症状も重く、殆ど効かない抑制剤と張型やバイブが手離せない。 性交渉の際はラットしたαも途中でへばってしまって、番の話は流れてしまった。 発情期の日数は通常は5日程度で発情期は終わるらしい。 発情症状が重い事もあり、妊娠しやすいのではないかと思うだろう。 Ω専門の病院で検査したところ、確かに妊娠はしやすいと診断された。 だが、MRIで全身くまなく調べたところ、肛門から子宮迄の長さが異常で、発情期に子宮が降りて来るとは言え、それでもαの性器が子宮口まで達する事が出来ないせいで妊娠に結び付かないのだ。 この診断結果で俺のΩとしての能力は低いとされてしまい、αコミュニティでは『会う価値の無いΩ』とレッテルを貼られてしまっているらしい。 それでも時々は冷やかし組のαがヒートの相手としてやって来るが、やはり5日を過ぎた辺りで逃げ出すのだという。 両親にはとうに諦められてはいるが、俺は孫を見せてやりたい。 というのも、俺には年の離れたαの兄がいるが遺伝子疾患があり、物理的に子を設ける事が出来ないのだ。 通称『α狂い』という病気だ。 正常なαはΩフェロモンにしかラットしないのだが、兄は同性のαフェロモンにしかラット出来ない。 男性型αを抱きたい抱かれたい気持ちだけでなく、子宮がある訳でもないのに、αの外性器を受け入れる為の分泌液を垂らしてしまう、Ωのように乳首が発達している訳ではないが敏感等の症状だ。 まるでΩのようだが、能力も外性器も完全にαのそれである為、『α狂い』と呼ばれている。 この遺伝子疾患の発症原因はαα婚の密度の高さにあるのではないかと、近年囁かれている。 ここ数十年で『α狂い』のαが増加傾向にあるためだ。 そのα達の近親者を辿るとαα婚率が非常に高い事が分かって来ている。 俺はαα夫婦間に稀ではあるが生まれたΩだが、優秀な兄が『α狂い』であるため、家を存続させる希望の光として大切に育てられた。 それも最近は完全に諦めの空気に変わってしまっているのだ。 華奢で美しい可愛いらしいΩ、αに可愛がられ愛されるΩ、俺はそんな風になれなかった現在28歳Ω、独身。

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