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第3話

私はいや、私達3人はこの国のαの頂点に至ったと言える。 だが、私達には悩みがある。 私の隣で完全に諦め開き直って踏ん反り返る40歳過ぎの美女と60歳を目前にしたハンサムなオッサンは、世界を股にかけて活躍し、どんな美男美女もΩも視線だけで股を開くαの中のαだ。 しかし、未だもって童貞である。 そして、私の未来の姿とも言える。 Ωコミュニティから発情期の上質なΩをどれだけ紹介してもらっても、私の童貞は保たれている。 ヒートしたΩに勿論ラットし、性交渉に及ぼうとするのだが、私のイチモツがΩの骨盤内に納まるようには見えない。 いや事実、Ω達の華奢な身体は私を飲み込めなかったのだ。 私達は子を成す以前に童貞すら切れていない。 私達に合うΩを紹介してもらえるよう何度となくΩコミュニティに掛け合ってみるが、上質なΩと紹介されるのは華奢な者達ばかりで話は平行線だ。 このようなΩばかりを紹介してくるΩコミュニティに辟易しているし、Ωとは本当に華奢な者しか居ないのかもしれない。 実際に目にした事のあるΩも全て、細く愛らしい者達ばかりでもあった。 しかし、そうなると私は先の魔法使い、いや大魔法使い2人と同じようになってしまう。 そ、れ、だ、け、は、い、や、だ。 私はαコミュニティ内のΩの兄弟が居る者達に探りを入れる事とする。 Ωコミュニティが紹介してこない隠されたΩが居るかもしれないからだ。 可能性が少しでも有れば賭けてみたいのかもしれない。 幾人かに声をかけてみて、2人だけヒットした。 1人目の話をしたその男は30代半ばだろうか、αコミュニティに来ないαの知人にΩの弟が居たと。 だが、知人のαが少々厄介な人間なのだという。 連絡が取れないか問うと、相手は渋面した。 そんなにも厄介なのだろうか。 相手の名前と職場を聞き、直接コンタクトを取る事とした。 どんな厄介事でも乗り切ってみせる。 一つ心配なのは、Ωコミュニティから既に紹介された者ではないかという疑念だ。 いや、兄がαコミュニティに入っていないのだ、中流層の家庭でΩコミュニティに入っていないのかもしれない。 2人目は『会う価値の無いΩ』と呼ばれている男。 発情期が頻繁にあり、発情期間も通常より長く、そのくせ孕みもしないΩがΩコミュニティに居るそうだ。 私の童貞が掛かっている、心配事も当然ある。 私のイチモツを受け容れられるのならば、Ωのランクなど些末なものだ。 私だけのΩ、必ず見つけ出す。 私はあのα2人のように魔法使いになどなりたくない。 否、ならない。 私はとにかく2人のΩと会う算段をつけよう。 現在、私の頭の中は交尾への憧れと執着基、番を求めるαとしての生き方に飢えている。 αの中のαと呼ばれるようになったばかり、イチモツが矢鱈と大きい事を悩む25歳α、独身、未だ童貞。 温かいカフェオレに口を付けながら、フッと笑みを浮かべた。

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