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第12話
そろそろ発情期が近い。
俺に最上位α2人ウィンチェスター・撫子女史と島津久彬氏から突然見合いの申請があった。
そして、俺から見合いを申し込んだ徳川エリック氏の3人と俺は発情期に交尾をする。
番になれなくとも孕ませて貰えれば、有馬宮家に後継が出来る。
俺のような不美人は抱いて貰えるだけ贅沢なのだ。
それが今回に限り、最上位αが3人だ。
これだけでも、俺は人生最大の僥倖だと思う。
β職員達は、よくこんな話を取り次いだもんだな。
俺との条件が最大級に良い見合い話なんかは、全力で握り潰すのが普通だろうに。
でも、まあそこは相手が最上位αで相手指定だから、握り潰せなかったのだろうと軽く考えておく。
色々掘り下げても、俺にはどうにも出来やしないから。
元来、俺は見た目とは正反対で気が小さい。
怖くて他人に意見なんか出来ない。
頭の中でゴチャゴチャ考えては、自分を卑下して暗い思考に陥るタイプだ。
だからこそ出来るだけ気にしないように、与えられた幸せは幸せのまま受け入れる練習を日々重ねている。
幸せ過ぎて怖い、この後何か良からぬ事があるのではないか?
何かの罰ゲームか?
等と考えればキリが無いし、『嬉しいは素直に受け入れないと、手元にある幸せを見逃すよ』と、母が昔言っていた。
徳川氏や島津氏、ウィンチェスター女史はどんな方達だろう。
俺は何故指名されたのだろう。
ウィンチェスター女史は榊兄さんよりも歳上で、島津氏は父と同世代、唯一歳が近いのは徳川氏だ。
最上位αともなると、やはり存在が稀なのだろう。
自宅のリビングで見合い相手の資料とにらめっこしていれば、榊兄さんが珍しく機嫌良さそうに帰って来て、俺がリビングに居るのも気にせずにキッチンへと通り過ぎて行った。
Ωが本能でダメな兄が俺と同じ空間に居るのは、本当に珍しい。
それも顔を顰める事も吐き気を催す事も無くだ。
ん、心なしか腹が膨れて別のαのフェロモンの香りがする。
しかも凄く良い香りだ。
こんなに引き寄せられる香りは初めてだ。
スンスンと鼻を鳴らし、導かれるままに兄さんに近づけば、流石に嫌な顔をされリビングから出て行かれた。
もっとこのαのフェロモンに触れていたかったのだけれど。
榊兄さんの恋人なのかもしれないαだ、俺が近づいても、いい気はしないよな。
俺は1人納得をして、次の発情期に備え、別棟のαと発情期を過ごす部屋の準備や身体の手入れに取り掛かる事にする。
冷蔵庫にストックしておく水分や軽食、シーツにバスタオル、ボディシャンプーや各種ケア用品、妊娠を目指した交尾の予定だが、一応避妊具も各種サイズ準備しておく。
久しぶりにαと過ごす発情期は、やはりΩとしては存在価値があるように思えて、嬉しいものなのだ。
孕みたい系ガチムチメン有馬宮日榊28歳男性Ω、久しぶりの交尾が最上位αでウキウキしてます。
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