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第二章 寂しさ 4
「それにお前、もう1人で大丈夫なのかよ?」
そう聞かれて、どき、とする。
ここは正直に話した方がいい。
「1人じゃなくなったんだ。」
「…ッ、どういう意味だよ、」
「そのままの意味だよ。恋人が出来た。」
「…っ!そ、うか…。」
「うん、今までいっぱい迷惑掛けてごめんね。その…、利用するみたいにして…。」
「いや、それはいい。気にすんな。」
両肩が解放された。
桜くんはそのままドカっと、俺の隣の席に座る。だから俺ももう一度ちゃんと座り直した。
「それで、その彼氏の事聞かせてくれよ。いつ出会ったんだ?」
「…昨日。」
シン、と静まり返る空気。ピリピリとしたものが漂ってきて…。
「わっ…!」
突然の事だった。カウンターに押さえつけられていて、桜くんの怒った顔越しに天井が見える。そして、あろうことか桜くんは俺のシャツに手を掛けて、そのまま引き裂いた。
「や、やめてッ!」
「おま…え、これ…。」
「み、見ないで…。」
桜くんの目に映っているのは、おそらく俺の身体に付けられた無数の痕。桜くんは絶対に付けないから、それが示す意味は明白で。わなわなと震える桜くんの右手が、そのまま俺の頬を打って、乾いた音が響いた。
「お前ッ、昨日会ったやつとその日にヤってそんで付き合ったってか!?」
初めて見る桜くんの怒り様に俺は声が出なかった。そして、俺の沈黙を肯定と受け止めた桜くんはもう一度、俺の頬をぶった。
「危ねえヤツだったらどうする…!どこの誰か分かんねえような奴にホイホイついて行ったのか!寂しいんなら、辛いんなら、俺が慰めてやるっつったろ!そもそも俺はこんな事ならねえ様に…くそっ」
また俺の顔目掛けて飛んできた手に、ぎゅっと目を瞑った。だけど衝撃は訪れず、どん、と左耳に拳を机にぶつける音だけが響いた。
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