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休憩中。コーヒーを飲んでいる時だった。
「やぁ、水谷くん。」
「部長……」
嫌なのに会ったな。
部長……微妙にゲイっぽいしセクハラ発言が多いから苦手だ。
「相変わらず水谷は細いな。
ちゃんと食べてんのか?」
部長が俺の腰をギュッと掴む。
「ぅ、ひゃ!」
あまりに驚いて変な声を出してしまった。
「クックック……可愛いねぇ。
もしかしたら感じちゃった?」
ニヤニヤ笑う部長。
………………んだ。この野郎!上司じゃなかったら、ぶん殴ってやるところだ。
「部長!入口にお客様が見えてますよ。」
篠が来てホッとする。
部長がいなくなったのを見計らい、篠が口を開いた。
「もしかして……部長にセクハラされてる?」
心配そうに聞いてくる篠。
『うん。』と言うのは恥ずかしくて、視線が泳いでしまう。
「助かったよ。なんか格好悪いところばっかり見られて……」
「いつも、あんな風に触られてるの?」
「…………」
答えられずにいると、篠が一歩俺に近付いた。
トン……
「篠……?」
一瞬のことで理解が遅れる。
………………何コレ。
俺の顔の横に篠の手。
背中には壁。
これは……かの有名な……壁ドン!!
「し、し……篠?なん、なんだよ……」
俺、篠に壁ドンされてる……!
なんの為?これ、何!?
ドッと心臓が跳ねる。
グッと距離が近づき、目を見つめられる。
…………やめろよ!ちっ、近い!!
な……
チュ……
甘い香り……
唇に温かいものが触れ、思わず固まる。
は!?
な……
………………なんで。
こ、コイツ、口にキスしやがった!!
「おま、お前、な……な、何やっ、てんの……」
「ごめん。ヒナちゃんが可愛くて……」
「可愛いわけあるか!俺、男だぞ!?」
「そんなの知ってるよ。」
「じゃ……な、な、なんで!
キスするんだよ!」
「ヒナもいけないと思うよ。
あんなウルウルした目で見られたら、誘われてるのかと思う。」
「は……はぁ!?誘ってねー!!」
「誘うのは俺だけにしてね?」
全然会話になんねぇ……!
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