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「ホラ。もっと飲んで。」
「いらん。俺、酒、弱いし……」
「ヒナが酔ってるの、見たいな……」
「ドン引き。」
会社の飲み会で篠が絡んでくる。
頭がおかしくなったとしか、思えない……
気まずくて勧められるままに飲んでしまう。
「ヒナ、酔うと赤くなっちゃうんだ。
可愛いね……」
「うるせー。可愛くないっつーの!」
阿呆か。
篠は本当に一体どうしたんだ。
頭が痛い……
…………体がダルい。
目を覚ますとそこは知らないベッドだった。
え。
なんで、俺、裸なの……
隣のベッドの膨らみを恐る恐るめくると、女の子ではなく、ソイツも男。しかも裸。
………………なんで?
これ、誰?
腰痛い。
…………後ろも痛い……
おかしいだろ。こんな場所が痛いなんて……
ね、寝よう。
これは夢だ!
現実のはずがない!
そして、頭から布団を被った。
…………なんだ。
良い匂い……
温かい……
誰かが頭を撫でてる。
重いまぶたをゆっくり開く。
「あー。やっと、起きた。おはよう。」
そこには朝っぱらから爽やかな裸の篠が俺の隣にいた。
「…………!?」
「………………な、な……」
空いた口が塞がらない。
「ぶっ、くく……すげー顔。」
篠は笑ってる。
「な、なんだよ。からかったのか!
ふざけるな!」
「からかってないよ。」
そう言って頬にキスされた。
「昨夜は可愛かったよ。ヒナちゃん。」
おでこにキス。
お前は王子様か何かか?
…………っていうか。
まず、この事態を説明しろ!!
「な、にを……」
「ひなちゃんは男とヤったの初めて?」
「んな……あるわけねーだろ!!
…………っていうか、や、やや……
ヤッたの?俺達……」
「覚えてないの?酷いな。昨夜はあんなに泣きながら俺に抱きついてきたくせに。」
「…………な!」
カァッと頬が熱くなる。
「お酒のは飲み方には気をつけないと。
俺みたいな狼に簡単に食われちゃうぞ?」
会社の飲み会で持ち帰りされたのは俺。
失ったのは童貞ではなく処女?
いや。違うだろ。女じゃねーし!
おち、落ち着け。
酒に酔ってやらかした出来事だ。
犬に噛まれたと思って忘れるしかない……!
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