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第5話*

「ああ、フレインさ……そこ、もう……」 「ん? ここ気持ちいいでしょ? 繋がってるとよくわかる」 「はぁ……んっ! そんなにしたら、また……!」  間を置かずにイきそうになって、伊織は壁に爪を立てた。  フレインは、快感は与えるが苦痛は与えない。伊織の様子を見定め、強弱をつけて攻めてくる。受け入れる側のペースを無視することはない。  それは単に彼が優しいのではなく、彼自身、誰かを受け入れた経験があるからだろう。受け入れる痛みを知っているから、無理なことはして来ない。受け入れる快感を知っているから、ちょうどいい攻め方がわかる。 (……いや、実際どうなのかは聞いてないけど)  でも、これだけ高度なテクニックを持っているのだから、少なくとも伊織よりは経験を積んでいるんじゃないかと思った。  欲望は向けてくるけど理性的な男性だ。さすが『フレイン(ブレーキ)』と名乗るだけのことはある。 「あ……っ」  フレインが背中から離れ、再び伊織をベッドに押し倒した。うつ伏せの状態で押さえ込まれて、尻だけを高く抱え上げられる。  本当はうつ伏せの格好はあまり好きではなかったが、今ここに至っては、こうしてあからさまにマウントをとられるのも悪くないと思った。  圧倒的な雄の覇気とでも言うのか、フレインが相手だと組み伏せられるのが当然のように思えてくる。抵抗する気が失せてくる。  伊織は首をひねってフレインを見上げた。 「フレインさん、なに……」 「うん。どうせだから、もっと奥まで挿れちゃおうかと」 「は、もっと奥って……うあっ!」  尻を固定されたまま、ぐぐっと最奥まで貫かれる。そのまま何度か腰を動かされ、うねるような快感を味わっていると、 「ひあぁっ!」  腹の底に先端が当たり、伊織はびくんと腰を跳ねさせた。奥深くの一番いいところを抉られ、全身の痙攣が止まらなくなる。 「ああ、あぁあ……そこ、だめ……おかしくなっちゃ……!」 「ふふ、よさそうだね。この体制だと直腸に当てやすいんだ。これからもっと気持ちよくなるから、覚悟しといてね」 「うう……ん、ふ……く、ああぁっ!」  とうとう耐え切れなくなり、シーツを掻き毟って二度目の絶頂を迎える。けれど熱を吐き出した様子はなく、甘い痺れに溺れていく感覚だけが残った。  これが噂の「メスイキ」か……。

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