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第3話 独占欲 3

 少し声を荒らげて目の前の彼を睨むと、ほんの少しうろたえた表情を見せる。それでも僕の苛々は収まらない。 「おんなじ高校って言ったって、一年だけだっただろ」 「一年だけでも重要だし、大学も一緒のとこ行くし。大体ね、北海道と東京じゃ遠距離すぎるでしょ。鷹くんは僕と付き合ってる自覚ある?」  中学に上がる少し前、親の転勤で北海道へ行くまで僕と鷹くんは比較的近くに住んでいた。親同士が兄弟、要するに僕と鷹くんは従兄弟という関係だ。でも僕はそんな関係よりもずっと深い恋心を鷹くんに抱いていた。夏休みや冬休みのたびに鷹くんのもとへ行き、何度となくそれを伝えてきた。最初はまともに相手にはしてくれなかったけれど、いつしか彼の手を掴む僕の手が大きくなり、彼を見つめる僕の視線の高さが変わる頃。少しずつ鷹くんの気持ちも傾き始め、僕が高校に入った年にようやく抱きしめることが出来るようになった。 「お正月もさ、僕のこと放って行くし」 「お、大晦日は一緒にいただろ」 「はぁ? 普通に考えて年越し一緒にしたら、初詣とかも一緒に行くでしょ? なんで友達だけ優先して行っちゃうかな。確かに友達付き合いは大事だよ、百歩譲ってそれはわかるよ。でも僕は鷹くんと一緒にいたかったし、友達と一緒でもついて行きたかった。それなのにそれから半月も放置? マジありえなくない?」  テーブルに両手を付いて勢いよく立ち上がると、鷹くんは小さく肩を跳ね上げ僕を見つめる。そんな視線をじっと見つめ返せば、いつしか彼の視線は右往左往と空を泳ぐ。 「だって、お前あいつらのこと嫌いだろ」 「別に、嫌いじゃないよ。面倒くさいだけ。人のこと見るたびに騒ぎ立てるから、鬱陶しいだけだよ」  鷹くんの容姿から簡単に想像できてしまう彼のお友達は、学生時代によくいるちょっと派手で素行が目に付く、俗に言う不良グループのようなものだ。どうしてあぁいった人達は皆揃いも揃って騒がしいのだろう。

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