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第4話 独占欲 4
「仕方ないだろ。お前、高校に入った時から目立ってたし、俺ら三年の女子とかもイケメン入ったって騒いでたし」
ボソボソと喋りながらも挙動不審なくらい視線を動かす鷹くんを見つめたまま、彼の横に僕は腰を下ろす。胡座をかいて俯きがちな顔を覗き込むと、ふいと顔をそらされた。けれど目の前にあるうなじがほんのり赤くなっている。
「鷹くんは僕のことどう思ってるの?」
そっと耳元に唇を寄せて囁きかければ、更に白い肌に赤みが広がった。俯いたまま顔をそらしている彼の言葉を促すように僕は無防備なうなじに口付ける。
「ざ、残念なイケメン」
「はっ?」
ほんのちょっと甘くなりかけた雰囲気が一気に砕かれた。
「確かにお前は顔立ち整ってるし、背は高いし、見た目はかなりいいけど。生活能力ないし、大雑把だし、面倒くさがりだし、手間かかるし」
「それは鷹くんが乙女男子すぎるから気になるだけでしょっ」
「誰が乙女男子だっ」
ムッとした雰囲気を隠さずに語気を荒らげると、目の前の鷹くんもまた同じような顔で振り返る。
「掃除に洗濯、料理にお菓子作りに裁縫が好きな鷹くんは、十分過ぎる乙女男子だと思うけど?」
一見した容姿とは裏腹に、鷹くんは昔から渋々などではなく自ら進んでそれらをやりたがる。しかも隠しているつもりのようだが、ぬいぐるみ好きなところもあって、いつ嫁にもらっても大丈夫な程に可愛いところがある。
「それに、鷹くん曰く残念なイケメンの僕に、可愛く啼かされちゃってるのは誰?」
ふっと目を細めた僕の表情を見た鷹くんは慌てたように立ち上がろうとする。けれどそんなことを許すはずもなく、僕は勢い任せに彼を床に押し倒した。両肩を押さえ付けている僕に抵抗して、ジタバタともがく鷹くんの肩を更に強く掴むと、僕は彼に覆い被さるようにして唇を奪った。
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