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第5話 独占欲 5

 文句を言いたげに開きかけた唇の隙間から舌を滑り込ませて、彼のものを絡め取る。唾液が顎を伝うほどに口内を蹂躙すれば、弱々しく彼の手が持ち上げられ僕の腕をぎゅっと掴む。 「……んっ」  鼻先から甘えた声が上がると、僕は掴んでいた肩を離してサラサラと音を立てそうな綺麗な金色の髪を梳いて撫でた。  僕はこの髪がすごく好きだ。以前あまりにも鷹くんの髪が綺麗だから、自分も髪色を変えようかなと言ったことがあった。でもそれに対して鷹くんの反応は、今以上に目立つし、お前は黒髪でも似合うから絶対に染めるなというキレ気味なものだった。けれどその時、小さな独占欲が見えた気がして嬉しかった。 「和臣」 「ん? なに?」 「すんの?」  首筋に口付けながら服の下に髪を撫でていた手を滑り込ませると、ほんのり目尻を赤くした視線に見つめられる。僕の反応を窺うような揺れたその目は、心の内に優越感を与える。僕はなにも言わずに小さく笑むと、たくし上げた服の隙間に現れた白い肌を舌先でゆっくりと撫で上げた。 「っあ」  小さな声と共にビクリと跳ね上がった腰を押さえて、彼の中心に向けて空いているもう片方の手を滑らす。ほんの少し逃げるように腰をくねらせるけれど、こちらは誘われているような気分にしかならない。 「したいよ。だって半月ぶりに会えたんだし、いいよね?」  デニムのボタンを外しファスナーに指をかけると、こちらを見ていた目がぎゅっと閉じられた。その可愛らし過ぎる反応に僕の手も遠慮がなくなっていく。少しずつ反応を見せ始めたものを強く擦れば、上擦った吐息混じりの小さな声が聞こえてくる。更に追い詰めるように僕は肌を指先でなぞり、口付けていく。しかし僅かに僕と鷹くんの熱が高まり始めたその時、部屋にインターフォンのチャイムが鳴り響いた。  その音に驚いたのか、鷹くんは肩を跳ね上げて目を開いた。

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