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第13話 独り占め 6
「出来ないわけじゃない、作らないだけだ」
ため息混じりに呆れた声が聞こえた。けれどそれに僕は反論するように声を大にして言う。小学校の頃は同じ学校に通っていた鷹くんだから、僕が一人学校で浮いているのは知っていた。時々声をかけてはくれたが、あまり上級生が声をかけすぎると余計に友達が出来なくなるとでも言われたのか、最後のほうはあまり構ってももらえなくなった。そんな経緯で先生や大人は信用ならないと幼心に思い、胸に刻んだ覚えがある。
「鷹くん、僕も遊びに連れてってよ。一緒にいたい」
独り占めにして繋ぎ止めておきたいとは言わない。せめて鷹くんのいるところに僕もいたい。それだけ、それだけなのに――ぐいと肩を押して僕は鷹くんから引き剥がされた。
「お前またそんな我がままを言ってるのか?」
肩を押した手を見上げて僕は睨むように目を細めた。鷹くんの後ろに立つ明博は呆れたような顔をして僕を見下ろしている。
「お前が友達が作れないのは協調性が」
「うるさい、明博には関係ないだろ! 僕は鷹くんがいればいいんだ」
たったそれだけなのになにがいけないと言うんだ。離れたくないだけなのに、ただそれだけなのに、それすら許してもらえないのか。
「もう鷹志だって中学生なんだ。小学生連れて歩くなんて出来ないだろ。それが我がままだって」
「うるさい、うるさい、うるさい!」
肩におかれた手を振り払って鷹くんの腕を強く引くと、僕はその身体を強く抱きしめた。小さな自分の身体で抱きしめたところで、彼を覆い隠せはしないけれど、誰の目にも触れない場所に二人で行けたらいいのにと思った。
「和臣!」
叱りつけるように少し荒らげ声を上げた明博を僕はキツく睨み上げた。
「明博になんか僕の気持ちわかんないよ!」
ただどうしようもなく傍にいたい。好きって言葉だけじゃ足りないくらい大好きで、鷹くんがいなくなったら目の前が真っ暗になってしまいそうだった。
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