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第14話 独り占め 7
けれどそれから一年後、父親の都合で北海道に引っ越しをすることになってしまった。義務教育もまだ終わらない僕が親元離れて暮らすわけにもいかず、兄だけ東京に残し小学校六年の三学期を待たずに僕は鷹くんと離れることになった。その時の喪失感と言ったらもう言葉では表せないほどだ。明博の言うところの協調性というものが欠如していた僕は、中学に上がってからますますそれが酷くなった。
ほとんど学校では誰とも話すことも群れることなく、とりあえず高校は東京へ行くのだと勉強にだけ集中した。そして離れてようやくわかった恋心に、僕は中学の三年間ずっと鷹くんにその気持ちを伝え続けた。夏休みは必ず会いに行き、しつこいくらいにアピールをし続けた。
もちろん最初のうちはまったく相手にしてもらえなかった。
「鷹くん、好き、大好き、愛してる」
「うるせぇ」
けれど同じ高校に入って三ヶ月――やっと欲しかったものを僕は手に入れた。今では小さかった僕の身長が鷹くんのそれを超え、身体も大きくなって、抱きしめれば他人の目からも覆い隠せるほどになった。
そっと細い腰を抱き寄せて背後から抱きつくと、僕は鷹くんの肩に顎を乗せた。ぴったりと寄せた肌とキツく抱きしめた腕に、少しばかり鬱陶しそうに小さく唸られたが、それでも僕は腕の力を弱めることはせずに、そっと耳元で囁くように話をする。
「昔の夢を見ちゃった。鷹くんのこと好きって自覚する前の夢。あんなに好きだったのに離れてから自覚するとか僕も意外と鈍いね」
ふふっと息を吐くように小さく笑うと、それがくすぐったかったのかシーツの上でもぞもぞと身体を縮ませ、鷹くんはタオルケットの中に潜り込もうとした。そんな動きに、僕もタオルケットに潜り込み、鷹くんを追いかけて無防備なうなじや背中にキスを落とした。
白い肌には昨晩つけた鬱血した痕がいくつも散らされている。多分起きたら怒るだろうなと思いながらも、また僕は綺麗な背中に舌を這わせて新しい痕を残した。
独り占め/end
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