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第15話 独占的 1-1

 一緒にいられたのはたった一年。春の訪れと共に鷹くんは高校を卒業していき、大学生になってしまった。僕も卒業したら同じ大学に行きたいと思っていたのだけれど、鷹くんは服飾専門の大学に入ってしまったので、あとを追うに追えない。興味もないのに追いかけてきたら別れるからな、と前置きされたのでいまは諦めている。  将来はデザインや縫製なんかの仕事をしたいって言ってた。鷹くんは昔から頑張り屋さんだし器用だから、きっと夢を叶えちゃうんだろうなぁと思う。毎日山のような課題とにらめっこして、かなり充実した大学生活を送っているようだ。  そのあいだの僕はといえば、夢も希望もないまま高校二年の秋を迎えた。去年までの浮かれた気分は一転して、高校に入る前の人見知りで陰気な僕に逆戻り。結果、鷹くんに構ってもらえず時間を持て余して、バイトなんかを始めている。個人経営のちょっとおしゃれなカフェで、時間を潰すには丁度いいくらいそこそこ忙しい。勉強は頑張らなくてもそれなりに出来てしまうので、最近はほとんどバイトばかりしている。  だけど日に日に鷹くん不足はひどくなっていく。最後に会ったのいつだったっけ? そんなことを考えるとため息ばかりが口からついて出た。鷹くんは夢中になると周りのことが見えなくなるから、悔しいことに僕にしばらく会っていなくても全然平気なんだ。僕は毎日会いたくて会いたくて仕方ないのに、電話もメールも全然返ってきやしない。 「城野(きの)くん、お疲れ様」 「ああ、お疲れ様」 「今日も忙しかったね」 「うん」  更衣室でぼんやり携帯電話を見ていたら、ふいに顔をのぞき込まれた。背が小さくて、顔が小さくて、目が大きい。ほかのやつらに言わせると、とびきり可愛いらしいと評判の女の子だ。お前に気があるみたいだぞ、なんてどうでもいいことを耳打ちされたけれど、正直まったく興味がない。 「あ、あのね。今日これから、谷崎くんと佐々木さんとご飯に行くんだけど。城野くんも一緒にどうかな?」 「……」 「あ、ごめん。なにか用がある? えっと、無理ならいいんだよ。突然だったしね。ただもしよかったらって思って」

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