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第17話 独占的 1-3

 しかしきっぱりと言い切ったら、谷崎はあんぐり口を開け、佐々木は振り向き目を大きく見開いた。 「え? なに、城野って恋人いたんだ? 毎日びっしりシフト入ってるからてっきり。ああ、でもそうだよな。この超絶イケメン放っておく女はいないよな。お前うちの店で歴代一位の男前って言われてんだぞ」 「えー、でも毎日バイト漬けで相手の子は寂しがらないの?」 「別に、向こうは忙しいので」 「あ、もしかして年上? 大学生? 社会人? 生活が違うと時間のすれ違いも多いよな」 「だけどあんまり忙しいからってほったらかしは駄目よ」  水を得た魚みたいに食いついてくるのが鬱陶しい。今日の選択、間違えたかな。適当に喋ってるのは聞き流せるけど、自分のことを根掘り葉掘り聞かれるのは迷惑だ。なんでそんなに他人の話を面白おかしく話せるんだろう。 「あ、あの! 谷崎くん、佐々木さん。今日のお店ってなにが美味しいんですか?」 「ん、ああ、ビーフシチューは絶品だぜ」 「確かに。でもオムライスも美味しいわよ」 「そうなんですか! 私すごく楽しみです!」  いままで大人しく隣を歩いていた子は、急に蓋が外れたみたいに話し出した。少し前のめりなくらいの勢いで、二人のあいだに入っていく。あきらかに不自然なのは僕にでもわかるのに、前を歩く二人はそれに気づく様子もない。しかしうまい具合に話がそれたので、これ幸いと素知らぬふりをして歩くことにした。  三人の後ろを黙々と歩き、ふと視線を周囲へと向ける。もう暦は十月の終わり――街のいたるところでハロウィンの飾り付けがされていて、随分と賑やかさが増している。でも煌びやかさに照らされた薄明るい夜空はなんだか落ち着かない。  普段からどこへ行くにも直行直帰。ぶらぶらと街中を歩くのも好きじゃないから、こうして人混みを歩くのは僕にしてはかなり珍しい。ウィンドーショッピングとか意味がわからないし、外でお茶するくらいなら家でまったりしたいと思う。いつだって僕は一人でいるのが気楽だ。でもだからなのか、鷹くんと二人で出かけたこともあんまりない。

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