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第18話 独占的 1-4

 道行くカップルをなにげなく視線で追いかけ、あんな風に並んで歩くことが全然なかったことに気がついた。たまに会ってキスして、セックスするだけ。その繰り返し。でもなんかそれって恋人じゃなくても出来そう。  ああ、鷹くんに会いたいなぁ。ああ、なんで僕、こんなところにいるんだろう。興味の湧かないつまらない時間を消費するくらいなら、会いに行けばいいじゃないか。一目顔を見るだけだっていい。ちょっと抱きしめられればそれだけでも充分なはずだ。 「ごめん、帰る」 「え?」 「あ、ちょ、城野くん!」  思い立ったら黙っていられなくなった。踵を返して駅へ足を向ける。背後で呼び止める声が聞こえるけど、ろくに返事もしないまま歩き出した。けれど少し足早なくらいのスピードで進んでいた僕の後ろから、か細い声が聞こえてくる。百メートルは過ぎたと思う。立ち止まって振り返ると、息を切らした彼女がいた。名前は、確か南川さんだったっけ? 「あ、あの、城野くん」 「……」 「ごめんね、気分悪くしちゃったかな?」  白い頬を赤くして肩で息をする彼女は、どこか必死な顔で僕のことを見上げる。その眼差しをしばらく見つめて、ため息と共に僕は肩をすくめた。 「そういうわけじゃないよ。ただ単に、帰りたくなっただけ」 「あ、うん、そっか」 「南川さん、僕のことは気にしなくていいよ。さっきは話そらしてもらって助かったけど、無理することないと思う。ああいうのそんなに得意じゃないんでしょ」 「え? あ、あはは、やだなぁ。全部バレバレとか恥ずかしい」  一瞬大きく目を見開いたけれど、彼女はすぐに誤魔化すように笑みを浮かべた。そして少し困ったように眉を寄せて目を伏せる。目の前に立っているのが僕じゃなかったら、きっといじらしくて可愛らしいなんて思ったりするのかもしれない。 「さっきも言ったけど、僕は付き合ってる人いるから」 「あー、うん。ごめんね。煩わせちゃって。でも急だったから、まだちょっと整理が出来てなくて。図々しいこと言うんだけど、ごめんなさい。もう少しだけ好きでいること許してください」 「君、趣味悪いね。僕なんかいいところないと思うけど」

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