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第30話 独占的 4-1

 初めて好きだと告げたのは中学一年の夏。胸を高鳴らせて告げた言葉に、鷹くんは笑って俺も好きだって言った。でもその時はまだ僕の本当の気持ちは伝わっていなくて、必死な僕を見て不思議そうな顔をしていた。それから僕はことあるごとに好きだと繰り返した。そのうち徐々になにかがおかしいと気づき始めたのか、鷹くんは気まずそうな表情を浮かべるようになる。  中学の頃からやんちゃだった鷹くんは当時から明るい髪色をしていたが、緩い校風の高校に入ってからいまと同じ綺麗な金色になった。色が白い彼にその色はとても似合っていて、それにまたひどくドキドキした。だけど友達も増えてますます遠くなっていく鷹くんに焦り覚えた僕は、ランクを四つも落としていまの高校に入学を決めた。いつもはなにも言わない親たちもさすがに驚いた顔をしてたし、学校側は特にひどくて、何度も説得を試みられてげんなりしたの覚えている。  それでも後悔はなにひとつしていない。たった一年だったけれど鷹くんと一緒にいられた。毎日学校に行くのも楽しみだったし、同じ時間を共有できたのも嬉しかった。なにより長年の想いを鷹くんがようやく受け止めてくれた。それだけですべて報われた気になる。 「こっちに出てきてよかった。傍にいるだけでこんなにいいことがあるなんて思わなかった」 「そういや、お前がうちの高校を受験するって決めた時は、やめるように説得しろって親に言われたな」 「そうなの? 鷹くん全然そんなこと言わなかったよね」 「んー、言えなかったんだよな。和臣の気持ちに応えてないのに、俺が口出せることじゃねぇじゃん。それに俺が言わなくても散々言われてただろうし。だから本当にお前がうちの学校に来ることになったら、答えを出そうと思ったんだ」 「そうなんだ。てっきりもう何回も言われるのが面倒で頷いたのかと思ってた」  お前と付き合う、と言われた時は正直、嬉しさと疑いが半分だった。それでも触れることを許してくれたし、キスもさせてくれたし、セックスだってさせてくれた。

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