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19DAY

「困ったな・・・」 「そうだよな、困るよな。でも何とかならないか?」 「何とかしたいのは山々だけど・・・うーん・・・」 グランが来て、アウルに何か仕事の依頼をしているみたい。 僕はお茶の支度をして、邪魔をしないよう静かにサーブしキッチンへ下がろうとした。 「シアン、何処(どこ)へ行くの?」 「えっ?ぁの、お邪魔かと、キッチンへ・・・」 「此処(ここ)へ座って」 「・・・はぃ」 テーブルを挟みグランの向かいのソファに座っているアウルが、自分の横を手でぽんぽんとした。 仕事の話をしているのに、僕がいて大丈夫なのかな・・・。 僕がアウルの横に座ると、グランが話の続きを始めた。 「シアンちゃんに手伝ってもらうのは?」 「いや、シアンには私の世話をしてもらっているのに、こんな事まで頼めないよ」 ・・・ん? 僕に、仕事の手伝いを? 「ぁ、僕に出来る事なら何でもやります、お手伝いさせてくださ・・・」 「ありがとう助かるよ!」 「ありがとうシアンちゃん!」 ・・・あれ、なんか、僕が手伝うって言うの、待ってたの、かな・・・? 「ぁの、それで、どんなお仕事なんですか?」 「王都祭りのメインイベントで妖精王役をやって欲しいんだ」 「王都祭りのメインイベント!?」 そんな、あまりに荷が重すぎる・・・。 「ぁ、ぁの、すごく、不安なんですけど・・・僕なんかにそんな・・・」 「シアンちゃんに断られたら、俺はもう・・・王国騎士団長では・・・いられなくなるかもな・・・」 「そうなるときっと・・・私も職を失うかもしれない・・・」 ええ!? 僕のせいでそんな・・・。 「が、がんばり、ます・・・っ」 「ありがとうシアン」 「ありがとねシアンちゃん!じゃ、俺皆に伝えてくるわ」 そんな訳で、僕は王都祭りのイベントへ参加することになった。 ・・・お祭り、行くのも初めてなんだけどな。 当日はアウルもいっしょだと聞いて、楽しみだけど、でもやっぱりメインイベントで妖精王役だなんて・・・。 「僕、ちゃんと出来るかな・・・」 「誰よりも適役だと思うよ。そうだ、明日はラグの店で衣装合わせだからね。またガルムに眼を借りなきゃ」 「ええ!?そ、そこまでするんですか?だって、眼を借りるのって大変なんじゃ・・・」 「そうでもないよ。それに、ガルムの眼で見ればガルムにも視えるから」 「何ダ、マタ眼ヲ使ウノカ?」 グランが帰ったのでガルムさんがキッチンから出てきた。 ガルムさんは相変わらず僕を見張っててくれてるけど、キッチンにいる間はずっと「ぷりんツクルノカ?」って聞いてきて、僕はその度にプリンつくってる。 食べてる姿が可愛いんだ。 アウルがガルムさんに眼を借りる理由を説明したら、お祭り当日も貸してくれるって。 「オ前ノ晴レ姿ヲシッカリ見届ケテヤル」 「ぅ、うん、ありがと・・・」 晴れ姿どころか、大失態にならなきゃいいけど・・・。

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