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20DAY
「あぁ、とってもお似合いですぅ!可愛らしく且つ美しく神々しいぃ!」
「本当に素晴らしい・・・妖精王も嫉妬するだろうね」
只今、ラグさんのお店で衣装合わせ中。
こんな高そうな生地、触るのも気が引けるのに、ラグさんが次から次に合わせてきて素早く仮縫いしていく。
ラグさんってゆったりした雰囲気なのに、仕事は本当に速い。
「やっぱりぃ、こっちの色味の方が良さそうですねぇ」
「そうだね。あ、そこはあまり露出しないように」
「了解ですぅ」
僕はただ立っているだけ。
下手に動くと邪魔になっちゃうし。
「花冠はどうしますかぁ?」
「ああ、それは私が用意するよ」
「わかりましたぁ。では以上で結構ですぅ。出来上がりましたら試着して頂いてぇ、微調整して完成ですぅ」
思っていたより早く衣装合わせが終わり、お疲れ様でしたぁ、とラグさんがお茶を勧めてくれた。
いつもは自分がお茶を出す立場だから申し訳なくて遠慮しようとしたけど、アウルに半ば無理やり隣に座らされてしまい、頂く事に・・・。
「ぁ、すみません、ありがとうございます」
「いえいえぇ。それにしてもぉ、碧き精霊が妖精王役だなんて眼福ですねぇ」
碧き精霊?
「あの、碧き精霊って・・・?」
「君の事だよシアン。精霊の加護を受けた美しい人」
い、いえ、僕はただ髪が碧いだけで・・・。
全力で否定しようとしたら、ラグさんに挨拶をしたアウルが僕の手を引き、店を出てしまった。
いつもは僕が手を引く役なのに、なんだか不思議な気分・・・。
それより、せっかくガルムさんの眼を借りたのに、どおして僕と手を繋いでるの?
「あの、アウル、手は繋がなくても・・・」
「私と手を繋ぐのは嫌?」
「ふぇ?・・・ぁ、嫌じゃないです!」
そう答えると、アウルは嬉しそうに笑った。
アウルが嬉しそうなので僕も嬉しい。
「そうだ、妖精王役が何をするか言っていなかったね。4頭立てのキャリッジで城までの大通りをパレードしながら、沿道にいる国民に祝福を贈るんだ」
「しゅくふく?」
「花びらをまくんだよ。笑顔でね」
そ、そおですか・・・。
馬車から花びらをまく・・・。
笑顔で・・・。
「・・・が、頑張ります・・・」
「そんなに不安がらないで。私が隣にいて、花びらを用意するから」
パレードの間ずっとまいている花びらは、アウルが魔法でつくるらしい。
パレードの間はずっと隣に居てくれる・・・けど、パレードが終わったら・・・?
もしかして、忙しいのかな・・・。
「あの、パレード以外の時も、いっしょにいられますか・・・?」
「ずっと隣にいるよ。君を独りにはしないからね」
「良かったぁ!」
アウルがずっと隣にいてくれるなら、妖精王役も頑張れる・・・かな。
うん、頑張ろう!
「パレードが終わったら王に謁見して、妖精王から王へ花冠を授けたら、着替えてお祭りに行こうね」
「王に謁見!?」
そんな恐れ多い役目あるなんて聞いてないんですけどーーーっ!!
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