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21DAY
今日は天気がとても良いので、庭でまったり中だ。
大きめのラグを敷き、その上に座ってピクニック気分。
ガルムさんは僕にブラッシングされ、気持ち良さそうにしてる。
僕はアウルにブラッシングされ、正直寝てしまいそう・・・。
「アぅ・・・リードさん、僕の髪なんか梳 いて楽しいですか?」
危ない、ガルムさんがいるのにアウルって呼びそうになってしまった・・・。
アウルの仮名であるリードさん。
何故か呼び捨てにできない。
「とても楽しいよ。目が見えるようになったら、色んな髪型にしてあげるからね」
「そ、それは・・・僕、一応男なので・・・」
髪、かなり伸びてきちゃったからな・・・。
だから皆に女の子と間違えられるのかも。
短く切った方が・・・。
「だめだよ、勝手に髪を切ったりしたら」
「・・・は、ぃ」
まただ。
アウル、どおして僕の考えてる事わかるの・・・。
魔法使いだから?
「シアンは考えが顔に出やすいんだよ」
「そ、そぉですか・・・って、見えてないじゃないですかっ」
やっぱり魔法だ。
心を読む魔法があるんだ。
・・・変な事考えないよおにしなきゃ・・・。
「君に魔法なんか使わないよ。そんな卑劣な事はしない」
「ひれつ・・・って、魔法は卑劣なんかじゃないですよ?僕を助けてくれたじゃないですか。魔法のおかげでガルムさんともお話しできるし・・・魔法は、うまく言えないけど、良いものだと思います」
「・・・ありがとう」
アウルが、安心したよおな、すっきりしたよおな、そんな表情で笑った。
「でも、魔法で君の心を読んだりはしてないし、これからもしない。それから、私の事を好きになるよう魔法薬を飲ませたりもしない」
魔法薬・・・。
あれ、前に飲んだ事があったよね・・・ピンクの・・・。
さすが魔法・・・効き目は抜群・・・って、そおじゃなくて。
「そんな事、魔法なんて使わなくても僕は・・・っ!?」
ななななにを言おうとした!?
いま、ぼく、なんて・・・。
「魔法なんて使わなくても、シアンは・・・何?」
「・・・ぇ、と、ぁの・・・その・・・」
あの時、もお死んじゃうって思った時。
アウルの声を聞いて、言えばよかったって、思った言葉。
・・・言っちゃおう、かな・・・。
でも、いくら魔性の碧 が悪いものじゃなかったとしても、男の僕に・・・大好きなんて言われても・・・。
「・・・リードさんの事、尊敬してますから」
きっと、この気持ちは迷惑だ。
アウルは皆に慕われる立派な魔法使いで、僕は髪が碧いだけの田舎者。
アウルの目が治ったら必要のなくなる、ただの従者。
「尊敬?りーどヲカ?タダノ魔法使イダゾ。コイツヨリ俺様ノコトヲ尊敬シロ」
ふんっ、と鼻息荒くガルムさんが言った。
思わず笑ってしまってから、まったりとブラッシングの続きをする。
アウルは相変わらず、僕の髪を梳いたり撫でたりしてた。
いつも通り振る舞っていたけど、何か、考えてるみたいだった。
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