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22DAY
「おはようございますアウ・・・る?」
朝食の支度をして、アウルを起こしに彼の寝室へ行ったら、ベッドの主が見当たらない。
もう起きたのかな。
寝室の隣のバスルームも確認したけど、いない。
もしかして、庭かな・・・。
「・・・ぁれ、いない・・・」
「ドウシタしあん?」
「あ、ガルムさん、リードさんがいないんです。見ませんでした?」
「俺ハ朝カラオ前シカ見テナイゾ」
ですよね・・・。
ガルムさんは相変わらず僕を見張ってくれてる。
と言っても、キッチンにいる時にくっついてるだけで、庭とかソファとか自室でゴロゴロしてる事も増えてきたけど。
「どこいっちゃったんだろ・・・もしかして1人で出掛けたりしたのかな・・・でも杖は部屋にあったし・・・」
それからガルムさんと手分けしてお屋敷内をくまなく探したけど、何処にもアウルはいなかった。
アウルの部屋で、空っぽのベッドを前に途方に暮れる。
「・・・どこ・・・いっちゃったの・・・」
「・・・しあん、モシカシタラ、ダガ・・・りーどハ魔導狩リニアッタノカモシレナイ」
「まどうがり・・・?」
ガルムさんによると、魔法使いを排除しようとする魔導狩りという者たちが存在するらしい。
排除って・・・まさか・・・。
「ぁの・・・じゃあ、リードさんは、もしかして魔導狩りに拐われちゃったんですか・・・?ど、どおしよう、どおしよ・・・」
だめだ、しっかりしなきゃ、すぐ探しに行かなきゃ。
王国騎士団に行ってグランに言っていっしょに探してもらわなきゃ・・・。
なのに・・・!
「・・・ぅ・・・っ、ふぇぇ・・・っ、ぇぐ・・・っ」
怖い。
身体が勝手に震えて動けない。
アウルがいなくなるなんて。
アウルにもしもの事があったら・・・考えたくないのに考えてしまう。
苦しい。
息が・・・できない・・・。
・・・だめ、しっかりしなきゃ!
立って、走ってグランの所へ・・・!!
「ァ、オイ、しあ・・・」
「シアン!」
「っ!?」
駆け出そうとした僕を強く抱きしめる腕。
この匂い・・・大好きな・・・。
「ぁ・・・ぁぅ・・・る・・・?」
「ごめん、ただちょっと驚かそうとしただけなんだ。泣かせるつもりはなかったんだよ・・・ごめんね・・・」
・・・ただ、おどろかそうと、した・・・?
それって・・・つまり・・・?
「ガルムさん、嘘ついたの・・・」
「魔導狩リハ存在シタゾ・・・何百年カ前ニ滅ボサレタケド・・・」
じゃあ今はいないんじゃん!
「ガルムを責めないで、私が計画した事だから・・・ガルムの部屋に隠れて、彼が探しに来た時に黙っているよう言ったんだよ・・・」
「・・・な、んで・・・そんなこと・・・っ」
「・・・わからない」
「はあ!?」
わからないって、アウルがした事なのに、わからないの?
どおしちゃったの、アウル・・・。
「・・・たぶん、君を・・・ちょっと困らせたかった・・・んだと、思う・・・」
ちょっと?
ちょっとどころじゃない、すごく心配したのに!
「どおして僕を困らせたかったんですか」
僕、何かしたのかな・・・。
アウルの機嫌を損ねるような事・・・。
「・・・君が、言ってくれなかったから、だと思う」
「僕が言わなかった・・・何をですか?」
「好キッテ言ッテモラエナカッタカラダロ。俺ハ関係ナイ。部屋デ寝テルカラ、済ンダラ呼ベ」
ガルムさん、僕らを置いて自室へ行ってしまった。
スキッテイッテモラエナカッタ・・・。
すきっていってもらえなかった・・・・・・。
好きって言ってもらえなかった・・・・・・・・・!?
「ふえ!?」
も、もしかして、昨日の・・・?
大好きって言いそうになったの、尊敬してるって言った、あれ・・・?
え、え?
「尊敬してるって言ってくれたけど、本当は・・・好きって言って欲しかった・・・私の勝手な想いで、こんなくだらない事をして君を泣かせるなんて・・・嫌われてしまっても仕方ない・・・」
「ぁうる・・・」
「まったく、私は魔法がないとどうしようも無いな。こんなみっともない男に好かれても、シアンには迷惑だね・・・」
「そんな事ない!!・・・っぁ」
大声出しちゃった。
アウルもびっくりした顔してる。
でも、この勢いで言わなきゃ、僕も言いたい事言わなきゃ・・・!
「僕は・・・アウルが大好きです・・・!」
自分の思いを伝える事が、こんなに難しくて、こんなに簡単だったなんて。
きっと、貴方に出会わなければ、僕は一生知らなかった。
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