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23DAY
ど・・・どおしよう・・・。
昨日・・・勢いで・・・大好きって・・・言ってしまった・・・。
その後は、その・・・あんまりよく覚えてないけど・・・だ、抱き合って・・・き・・・き・・・っ。
「・・・・・・きす・・・しちゃった・・・」
「どうしたのシアン」
「ひゃいっ!?」
あ、あうる、いつの間に後ろに・・・。
「脅かしてしまったかな」
「ぃ、いえ、だいじょぶ、ですっ」
本当はぜんぜん大丈夫なんかじゃない。
気持ちを言葉にして伝えて、その・・・両想いになったら・・・アウルの事を意識し過ぎちゃって・・・。
これからラグさんのお店にお祭りの衣装合わせに行かなきゃなのに。
「じゃあ、行こうか」
「は、はいっ」
いつも通り、アウルと手を繋ぐ。
今日もガルムさんが目を貸してくれているので見えてはいるんだけど、アウルが手を繋ぎたがるから。
・・・いつも通り・・・いつも通り・・・いつも通り・・・っ。
「ふふ、どうしたのシアン」
「なっ、どっ、どーもしてないですっ!」
「あははっ」
なんでそんなに楽しそうなの・・・。
僕はこんなに意識して緊張してしまうのに・・・。
なんとか平静を装い、上機嫌なアウルの手を引っぱってラグさんのお店に着いた。
「いらっしゃぁい、お待ちしてましたよぉ」
「こんにちはラグさん」
アウルをソファに座らせて、僕はラグさんの指示に従い衣装に袖を通す。
・・・すごい、サイズもぴったりだし、既に完成しているのでは・・・?
「ここをもう少し絞りましょうかぁ・・・丈は丁度良さそうですねぇ・・・やっぱり刺繍は金糸だけの方が良いですねぇ・・・この辺りまで刺繍を入れましょうかぁ・・・あとはぁ・・・」
話し方とは裏腹に、やっぱり仕事の速いラグさん。
アウルはうんうんと頷くくらいで、特に注文は付けなかった。
ラグさんの業 には非の打ち所がないからだろう。
僕はとにかく、ラグさんの仕事の邪魔をしないように、無駄な動きをせず、大人しくされるがままになる事しか出来ない。
「はぁい、お疲れ様でしたぁ。さぁ、お茶をどおぞぉ」
「ありがとうございます」
ラグさんに勧められ、アウルの隣に座りお茶を頂く。
慣れない事で少し疲れて、優しい味のハーブティがほっとする。
「さすがラグだね。史上最高の妖精王になりそうだ」
「素材が素晴らしいですからねぇ。なんたって碧き精霊が妖精王役ですからぁ」
その、碧き精霊って・・・言われ慣れなくてちょっと恥ずかしいんですが・・・。
それにしても、あんな立派な衣装を着てパレードなんて・・・本当に僕なんかが妖精王役でいいのかな・・・。
7日後に迫った王都祭り。
アウルの目が治り、雇用契約が切れる日だ。
パレードが終わって、契約が解消されたら・・・僕はどうなるのかな・・・。
アウルとは、その・・・相思相愛・・・に、なったんだよね・・・?
でも、それからどうなるの・・・?
僕は・・・どうしたらいいんだろう。
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