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24DAY

「えっと、君は・・・誰?」 僕の目の前には、肩までのばしたサラサラの金髪に、宝石の様な薄紫色の瞳をした、小さな男の子がいる。 ここはアウルの仕事部屋。 グランに頼まれた簡単な仕事をするからって、朝からガルムさんとアウルが篭ってるはずだったのに。 お昼ご飯が出来たから呼びに来たんだけど、肝心のアウルもガルムさんもいなくて、お人形さんみたいに綺麗なこの子がぽつんと立ってた。 「しあん」 「え?どおして僕の名前を知って・・・」 「きゃんきゃんっ!」 「ふえっ?・・・ぇ・・・こ、こいぬ・・・?」 男の子の後ろから、ころっころの小さくて黒い子犬が飛び出して来た。 ・・・なんだろ、既視感が・・・・・・。 「まさか・・・」 「まほう、しっぱいしちゃった・・・」 「・・・・・・えええーっ!!?」 男の子の話を聞くと、本当に簡単な魔法薬の調合だった筈なのに、ガルムさんがアウルに渡す薬を間違えて小爆発が起こり、2人ともちっちゃくなってしまった、と。 「それ、治るんですか?」 「うん、たぶん。はんにちか・・・いちにちか・・・みっかくらいたてば・・・」 「誤差があり過ぎないですか」 「きゃんっ!」 ああ、ガルムさん、こんなにころころになっちゃって・・・。 可愛い過ぎてもふもふもふもふしてしまう・・・っ。 「きゅーんきゅーん・・・」 「がるむばっか、ずるいっ」 「ああ、もう、わかりましたから、ほら抱っこしましょうねー」 いじけ始めたアウルを抱き上げてあやす。 どおしよ、ちっちゃいアウル、可愛い過ぎる。 「お腹空いてませんか?お昼ご飯食べましょうねー」 「ごはんたべるー」 とりあえず、いつかは治るみたいだし、目も見えてるみたいだし、心配しなくても大丈夫・・・かな。 ガルムさんは言葉が解らない状態なので、本当にただの子犬になってしまったみたい。 お皿に入れたミルクを小さな舌で一生懸命飲んでる。 ・・・ずっと見てられるなぁ・・・。 「しあんー」 「なんですか・・・って、アウルこぼしてるっ!ほら、お口拭きますからじっとして・・・おててもべたべたじゃないですかっ」 うう、子育てって大変・・・。 お昼ご飯の後はお昼寝の時間。 アウルはぐずってなかなか寝てくれない・・・。 「とんとんしてあげますから、お昼寝しましょうねー」 「ゃだ、ねむくないっ」 「おめめが半分しか開いてないですよ。眠たいはずです。ほら、ガルムさんも眠っちゃいましたよ?」 「がるむ、いつもねてるもんっ」 ああ、アウルがワガママ言ってるだけなのに、ちっちゃいと許せてしまう・・・。 可愛いよお・・・。 結局、お昼寝から目覚めたアウルとガルムさんは元の姿に戻ってしまっていた。 がっかり・・・じゃなかった、良かった元に戻れて。 「イッタイ何ガアッタンダ?」 「ガルムさん、覚えてないんですか?」 普通の子犬になってしまっていたガルムさんは記憶がないみたい。 アウルは? 「リードさんは覚えてますよね?」 「・・・ん?・・・いや、あんまり・・・」 絶対覚えてるな。 ちょっと恥ずかしそうにしてるアウルが新鮮で、もうちっちゃくないのにとても可愛く見えた。

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