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2DAY
「おはようございます、アウレウス様」
「ぅ・・・ん、あぁ、おはようシアン」
寝室のカーテンを開け、アウレウス様を起こす。
朝食の準備も出来てるし、彼が顔を洗うのを手助けしながら、紅茶の好みを聞く。
僕は家事全般を家でもやっていたから、この仕事なら雇い主様の役に立てそうだ。
「シアン、朝食はちゃんと、君の分も用意したかい?」
「あ、はい。ちゃんと用意しました」
昨夜、自分の分の夕食の仕度をしなかったら注意されたから。
きちんと、同じ食事を2人分作りなさいって。
僕は使用人だから、雇い主様と同じ物をいっしょに食べるなんて思わなかった。
・・・僕の姿を見たら、そんな事許さないだろうけど。
誰かといっしょに食事するなんて経験がなくて、昨夜は本当に緊張した。
不安で心配で申し訳なかったけど、嬉しかった。
「あ、それと、私の事はアウルでいいよ。様なんて付けなくていい」
「で、ですが・・・」
「いいね、シアン」
「・・・ゎ、分かり、ました」
僕なんかが、雇い主であるアウレウス様を愛称で呼んだりしていいんだろうか。
そもそも、アウレウス様の身分もよく判ってない僕が。
こんな立派なお屋敷に住んでるんだから、きっと偉い方なんだろうけど。
・・・極力、お名前では呼ばないようにしなきゃ。
「シアン、今の私は目が見えていないから、私に話し掛ける時はそうと判るよう名前を呼んでね」
「・・・はぃ」
心を読まれたのかな・・・。
朝食を済ませ、天気がいいのでお庭へ出る。
アウレウス様・・・じゃなくて、アウルを天蓋 付きのガーデンカウチに座らせ、紅茶を用意する。
暫くすると、カウチの周りに綺麗な小鳥が集まってきた。
「可愛い小鳥が集まってきましたよ。アウレぅ・・・ぁ、アウルが、好きみたいですね」
「ふふ、私は動物にモテるんだ」
アウルが手を出すと、1羽がぱたたっと羽ばたいて、手の上にちょん、と乗った。
「わぁっ可愛い!・・・すっかり懐いてるんですね」
「シアンも、手を出してごらん?」
「ぇ、こ、こお、ですか・・・?」
アウルがしている様に、僕も掌を上にして差し出す。
僕の手なんかに、こんな綺麗な小鳥が乗ってくれるわけ・・・。
「・・・・・っ!!」
ふ、普通に乗ってきてくれた。
びっくりした・・・。
小鳥には、僕のこの姿は特に関係なかったみたい。
「シアンの事も好きだって」
「ふぇっ?こ、小鳥の言葉がわかるんですかっ?」
「あははっ!そおだね、わかるよ。シアンは優しくて、クッキーも焼ける、素敵な人だって言ってるね」
確かにクッキーは焼けるけど、素敵な人なんかじゃ、ない。
アウルの目が治ったら、きっと彼もそう思うだろう・・・。
暗く伏せた僕の顔を、綺麗な白い小鳥が覗き込んでいた。
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