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3DAY

「シアン」 「はい」 「どおしてこんな事をしたの?」 「・・・ご、ごめんなさぃ」 僕は今、大きなタオルでぐるぐる巻きにされて、アウルの前に正座してます。 まさか、お風呂の入り方で叱られるなんて。 「ちゃんとお湯に浸かりなさい」 「はい」 「お水で身体を洗うなんて、風邪を引いたらどおするの?私が気が付かなかったら、ずっとお水だったの?」 「・・・はぃ」 だって、お湯のお風呂になんて入った事なかったから。 家では僕だけ、水を使うように言われてた。 僕なんかが、お風呂にお湯を溜めてゆっくり浸かるなんて、していいわけない。 「さあ、お湯に浸かって温まってきなさい」 「はい」 僕、はい、しか言ってない・・・。 タオルを置いて、バスタブに足を入れる。 ・・・ぁ、熱い・・・っ。 「熱い?」 「え、あ、だ、だいじょうぶですっ」 せっかくアウルが入れてくれたお湯に文句をつけるなんて、僕にはきっと許されない。 我慢すればいい、入っちゃえば大丈夫。 「いけません。少し冷ましてあげるから」 「ひゃあっ!?」 無理やりお湯に入ろうとしていた僕を、アウルが抱き止めた。 ぼ、僕、裸なのに・・・っ。 アウルには見えてないからと思ってそんなに恥ずかしくなかったけど、触られるのはやっぱり恥ずかしい。 「こんなに身体が冷えてる・・・今日からはお湯を使うこと。わかった?」 「は、はぃっ」 僕を片手で抱き止めながら、アウルがバスタブのお湯に指先で触れた。 そこから波紋がひとつ広がる。 「このくらいでいいかな。入ってごらん」 「ふぇ?ぁ、はい」 え、ちょんって触っただけなのに? まだ熱いんじゃ・・・? 「・・・ぁ、丁度いい」 え、なんで? 熱かったお湯が適温になってる!? アウルが指先で触っただけなのに・・・。 あまりの適温に、思わず肩まで浸かる。 ふあー・・・きもちー・・・って、リラックスしてる場合じゃない。 「あの、ありがとうございます!とっても気持ちいいです!・・・本当は僕がお世話をしなきゃいけないのに、申し訳ありません」 「お湯を冷ますくらい簡単な事だよ。目が見えていたら、もっと色々してあげられるんだけど」 「そ、そんなっ、僕なんかに勿体ないです!」 アウルのお世話をするために僕がいるのに、アウルにお世話してもらっちゃったら意味がない。 「私に世話を焼かれるのは嫌?」 「ふぇ?ぇ、いえ、嫌とかではなく、僕はアウルのお世話をするために置いていただいてるので・・・」 「そう。じゃあ目が治って自分の事を自分で出来るようになったら、今度は私にシアンの世話をさせてくれる?」 「ぼ、僕の、世話、ですか・・・」 アウルに、そんな事させられない。 それに、アウルの目が治ったら、アウルが僕の姿を見たら、きっと・・・。 「目が・・・アウルの目が治ってから・・・アウルが、決めてください」 僕がそう言うと、アウルは目が治るのが楽しみだと言った。 僕は、その時が来るのが、不安で仕方ない。 温かいお湯に身体を温められながら、僕の心は冷えていくばかりだった。

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