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9DAY
今日は朝から、ちょっとフラフラする。
熱はないと思うんだけど・・・どおしよ、風邪ひいちゃったのかな・・・。
お茶とメープルクッキーをトレイに乗せ、アウルのいるお庭へ向かった。
小鳥に囲まれてるアウルを見て、声をかけようとした時・・・。
───ガシャ──ン
「っ!?シアン!?どうしたの!?どこにいるの!?」
・・・アウルが、よんでる・・・。
・・・へんじ、しなきゃ・・・。
・・・だいじょうぶって、いわなきゃ・・・。
「ガルム!!」
「何ダ、りーどガ強制召喚ナンテ珍シ・・・」
「シアンを探して!倒れたみたいなんだ!」
「ナニ!?何処 ダしあん!ッテ、スグ其処 ニ倒レテルゾ!オイ、シッカリシロ!」
アウルがガルムさんを呼んだら、ガルムさんがすぐ来てくれた。
キョウセイショウカンって、なんだろ。
「怪我は・・・ないみたいだね。ガルム、私がシアンを抱いているから、ベッドまで私を乗せて行って」
「しあんノタメナラ仕方ナイ、乗レ」
ふわっとして、びゅんってして、ふかってなった。
あ、ベッドに寝かせてくれたんだ。
起きなきゃ、アウルに迷惑かけちゃだめだ・・・。
「・・・ごめ・・・なさぃ・・・も、だいじょぶ、です」
「大丈夫ではないでしょう?どうして言わなかったの?こんな状態で掃除だの私の世話だのしている場合ではないでしょう。それに、謝る事でもないよ。毎日真面目に頑張ってくれている、君の体調不良に気付けなかった私が悪いんだから」
そんな、アウルは悪くなんてないのに。
なんで、倒れたりしちゃったんだろ・・・。
「シアン、起きてはだめだよ。それと・・・」
「コレダロ、持ッテキタゾ」
「ありがとうガルム。さあ、飲んで」
・・・え?
飲んでって渡された、綺麗なガラスの小瓶。
中にはピンク色の液体が。
「・・・これ、何ですか?」
「体力を回復するための薬だよ。ちょっと苦いけど、飲んだらよく眠れるから」
え、薬?
・・・僕、薬なんて飲んだことない。
だって、薬はとても高価な物だから、僕なんかが飲むなんて勿体ない。
「だ、大丈夫です、薬が勿体ないですっ、それに、眠っちゃったらアウルのお世話が・・・っ」
「シアン、薬なんかより、君の方がずっと大事なんだ。飲んで」
そんな、僕の方が大事だなんて・・・そんなわけないのに。
僕には、そんな価値なんて、ないのに。
貴方が僕の事を知ったら、その目で僕を見たら、薬なんて飲ませるはずないのに・・・。
「ごめん・・・なさぃ・・・」
小瓶の蓋を開け、薬を飲んだ。
トロっとして、甘くて、薬って意外に美味しいんだなって思った。
「ちゃんと飲んだかい?」
はい、飲みました・・・けど・・・。
「チャント全部飲ンダゾ」
ガルムさんが代わりに答えてくれた。
だって、僕、答えられる感じじゃ、ない・・・から・・・。
「よかった。じゃあ、ゆっくり眠って・・・」
「アレ?熱ガ上ガッタ。何故ダ?」
「・・・私が聞きたいよ。ガルム、何色の薬を持ってきたの?」
ぴんくです・・・ぼくがのんだの・・・ぴんくで、あまかったですぅ・・・。
「ぁ・・・うる・・・あつぃ・・・っ」
「シアン!?大丈夫?」
アウルが手探りで僕を抱き寄せた。
身体にアウルの手が触れただけで、びくってなる。
なんか・・・へんだ・・・こわいよ・・・。
「・・・はぁ・・・は・・・くすり・・・にがく・・・なか・・・た・・・です・・・っ」
「ガルムっ!」
「エ、ぴんくノジャナカッタノカ?」
「オレンジだよ!ピンクって・・・よりによって何故それを選んだのっ!」
「ウマソウダッタ」
ガルムさん・・・見た目だけで薬を選んできちゃったんだ・・・。
確かに美味しかったですけど・・・これ、何の薬なんだろ・・・。
「シアン、ごめんね、私がきちんと確認してから飲ませればよかったのに。少し、我慢して・・・すぐ、良くなるから・・・」
「ん・・・っ、ぁう、る・・・?」
アウルがベッドに上がって来た。
僕を後ろから抱き込んで、肩を擦り、腕を撫で、手を触って、それから・・・。
「ひゃあっ、そ、そんなとこ・・・っ、さわっ・・・ちゃ・・・っ」
え、え、なんで、どおして!?
アウルが・・・アウルが僕の・・・その、恥ずかしいトコロを・・・っ!!?
「ごめんね、でも、このままでは眠れないだろうから・・・我慢してね」
「んぁっ、ゃ・・・あぅる・・・っ、だめ・・・ひぁ・・・っ」
身体が熱くて、苦しくて、気持ち良くて・・・。
最後は頭が真っ白になっちゃって、僕はそのまま、眠ってしまった・・・。
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