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10DAY
どおしよ・・・どおしよどおしよどおしよ・・・っ。
まだ暗いうちに目が覚めて、こっそりお掃除始めてます。
床を磨きながら、昨日の事が頭の中でぐるぐるぐるぐる・・・。
「アウルに迷惑かけちゃった・・・あんな事させて、僕寝ちゃって・・・あぁどおしよぉ・・・」
同じところを磨きすぎて、床がきゅこきゅこ悲鳴を上げ始めた。
・・・今度は窓です。
「うぅ・・・ぅぅ・・・もぉ・・・どんな顔して起こしに行けばいいのぉ・・・」
きゅこきゅこきゅこきゅこ・・・。
だめだ、これ以上やったらガラスが傷んじゃう。
あぁ、次はどこを磨こうか・・・。
「シアン?早いね、体調はどう?」
「ひゃいっ!?」
ぁ、あうる・・・どおしてここに・・・。
「夜モ明ケテナイノニ屋敷中ヲ磨イテ回ッテル。変ニナッタンジャナイカト思ッテりーどヲ連レテキタ」
ガルムさん・・・余計な事を・・・。
「ぁあぁ、ぁの、その・・・き、きの、きのうは、ぁの・・・ごご迷惑をおかけして・・・っ」
「何も迷惑だとは思っていないよ。そんな事より、体調は大丈夫?」
「元気ニ掃除シテルカラ、体調ハ大丈夫ダロ。問題ハ頭ガオカシクナッタンジャナイカッテ事ダ」
「こらガルム」
僕、オカシクなってるかもしれません・・・。
だって、自分でも何やってるのかよくわからない・・・。
シャンデリアをモップとデッキブラシのどっち使って磨こうかとか考えちゃってた・・・。
どっちも間違ってるし・・・。
「僕・・・ぁの・・・申し訳ご・・・」
「昨日した事は私が謝るべき事だ。シアンは何も悪くないよ。苦しんでいる君に、あんな風に触れるなんて、許される事ではない。もし君が、ここに居るのが嫌になってしまったのなら・・・私に君を止める資格はない」
「・・・ぇ・・・・・・」
それは、出て行けということ?
僕があんな迷惑をかけてしまったから、ここには居ない方がいいってこと・・・?
そんなの・・・やだ・・・。
せめてアウルの目が治るまでは・・・。
僕がもう一度謝ろうとした時、先にアウルが話し始めた。
「資格はないと、わかってはいるけれど・・・どうか行かないで欲しい。この目が治るまで・・・いや、治っても・・・君に、傍に居て欲しい」
「・・・・・・・・・っ」
・・・判ってる。
アウルの目が治ったら、アウルが僕を見たら、そんな事言うはずないって。
でも、見えてない今だけでも、僕はアウルに必要とされていたい。
傍に居させて欲しい。
生まれて初めて、傍に居て欲しいって、言ってもらえたから。
「僕は・・・アウルが出て行けと言うまで・・・アウルの傍にいたいです・・・っ、も・・・迷惑かけないよ・・・に・・・っ、だか・・・ら・・・っ」
「シアン・・・泣かないで。君が私に迷惑をかけた事なんて一度もないよ。何も心配しなくていいから、もっと自分の思っている事を話してごらん。我慢なんてしなくていいんだよ」
アウルがそっと僕を抱き締めてくれる。
こんな風に抱き締められたのも初めてだ。
アウルだけが、僕を必要として、僕を人として扱ってくれる。
僕は、アウルのためなら何だって出来る。
何だって耐えられる。
いつか、アウルに突き放される時が来るとしても、僕はきっと貴方のために耐えてみせる・・・。
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