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12DAY

今朝からアウルの機嫌が悪い、気がする。 いつも通りと言われればいつも通りなんだけど、なんだか、違う。 「ぁの、アウル、僕何かしましたか?」 「・・・何かって?」 「ぃぇ、ぁの・・・アウルの嫌がる事、してしまったのかなって・・・」 こんなに近くに居るのに、冷たい壁を挟んでるみたいな、そんな気がして・・・。 「・・・ごめんね、シアンは何も悪くないんだ。私がね、我儘なだけだよ」 「・・・わがまま?」 アウルが我儘・・・そんな事ないと思うけど・・・。 「嫌なんだ、シアンがグランと仲良くするの」 「・・・へ?」 「シアンは、私よりグランといる方が楽しいの?」 ええ? そ、そんな事ないですけど・・・。 「アウルといる時も、楽しいですよ」 「・・・じゃあ、グランが君を雇いたいと言っても、グランの所には行かない?」 「はい、行きません」 グランは好い人だけど、僕はアウルの傍で、アウルのお世話をしていたいから。 アウルが出ていけと言うまでは、ここで一緒にいたい・・・。 「良かった・・・捨てられるんじゃないかと不安だったんだ・・・」 「す、捨てるって、僕がアウルをですか?そんなのあり得ないですっ」 だってきっと、捨てられるのは僕の方。 貴方の目が見えないのを良い事に、貴方の傍に居座っている僕の方・・・。 「じゃあシアン・・・今日は1日、私の我儘を聞いてくれる?」 「はい、わかりました・・・」 さっきから我儘って言ってるけど、アウルはちっとも我儘なんかじゃない。 ・・・あ、もしかして、今まで遠慮してたのかな。 僕が頼りないから、して欲しい事とかあっても言わないで我慢してたのかな・・・。 「あの、何でも言ってください!僕、何でもしますから!」 「今日はガルムなんて放っておいて、私の髪を()かして」 「ぇ、はい、わかりました」 ガルムさん、ごめんなさい、明日念入りにブラッシングしますから・・・! さっそくブラシを持って、ソファに座ったアウルの後ろに立った。 でも、今朝も梳かしたアウルの長い金髪はサラサラで、あまり絡む事もないからすぐ梳かし終わってしまう。 「・・・もう終わり?」 「あんまりやると痛んじゃいます」 「じゃあ今度はシアンの髪を梳かしたい」 「ぼ、僕のはいいですっ、あの、他にして欲しい事ありますか?」 ブラシを隠して話題を変える。 ・・・だって、僕の髪なんか、アウルに触らせたり出来ないから・・・。 「・・・して欲しい事・・・何でもいいの?」 「は、はい」 僕の髪を梳かす以外なら・・・。 「抱き締めさせて」 ・・・何を? 「・・・ガルムさん、呼んで来ますか?」 「ガルムをどうするの?今は必要ないでしょ。私はシアンを抱き締めたいんだよ」 ・・・え、僕を!? どおして? 「も、もっと他にはないですか?」 「今日は1日私の我儘を聞いてくれる約束だよね」 「・・・ど、どおぞ・・・」 どおぞ、と言ってもアウルは目が見えないから、僕の方からアウルの腕の中に入ってく感じになっちゃって・・・。 ・・・は、恥ずかしい・・・っ。 「良いコだね、シアン」 「・・・っ、ぁりがと・・・ごさいます・・・」 帽子の上から、ぽんぽんと頭に触れられる。 良かった、ちゃんと被っておいて。 「本当に帽子が好きなんだね」 「ぁ、はい・・・」 「でもちょっと邪魔だから預かっておくね」 「ふぇ?」 気付いた時には、アウルの指が僕の髪を()いていた。 ・・・ぇ、ぼうし、どこ・・・? 「・・・ぅ、ぁ、だ、だめ、だめですっ」 「髪、触られるのは嫌い?」 「そ、そぉじゃ、な、くて・・・っ」 どおしよどおしよどおしよ・・・。 アウルが僕の髪に触ってる・・・! 触らせちゃった・・・だめなのに・・・僕の髪なんて触っちゃだめなのに・・・っ! ・・・なのに・・・・・・。 「・・・っ、・・・ん・・・」 髪、こんな風に優しく触られたの、初めてで・・・。 嬉しくて・・・。 気持ちよくて・・・。 アウルの我儘を聞くはずが、僕はただ、されるがまま撫でられてた・・・。

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