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16DAY
昨日はあの後、アウルに連れて帰ってもらって、グランと王国騎士団員の方々に謝って、アウルが作ってくれたスープを飲んで寝ちゃった。
今朝は少し寝坊して慌てて起きたら、僕のベッドにアウルとガルムさんも寝てた。
・・・ぇっと、狭い、です・・・。
2人を起こさないよおに、そおっとベッドを出ようとしたけど・・・。
「何処ヘ行ク。モウ逃ガサナイカラナ。今日カラ常ニ俺ガオ前ヲ見張ル」
「み、みはるって・・・」
ガルムさんが僕の服を咥えてベッドに引っ張り戻した。
勝手に逃げたりして、アウルにもガルムさんにもグランにも王国騎士団にも迷惑かけちゃったから・・・。
「・・・わかりました、見張ってくださぃ」
「ふふ、見張ってくださいなんて、面白い事言うね。ガルム、そんなにシアンを苛めないであげて。事情は話したでしょう?」
「俺ハ、何ガ生エテテモ気ニシナイト言ッタゾ。ソレナノニ俺ニ隠シテ、帽子ガ好キダト嘘ヲ吐イタ。しあんハ俺ヲ信用シテナイ、俺モしあんヲ信用シナイ。ダカラ・・・モウ勝手ニイナクナッタリシナイヨウニ、見張ル」
ベッドの上に座った僕の膝に、顎を乗せるガルムさん。
いつもはピンと立ってる尖った耳も、へたっと垂れてる。
・・・僕の事、心配してくれてたんだ。
僕を探すために、大事な目をアウルに貸してまで・・・。
「ありがとうガルムさん、僕を探してくれて。これから僕の事、見張っててください。僕、ガルムさんに信用してもらえるように頑張ります」
ガルムさんの額を撫でると、アウルから返してもらった金の瞳がすっと細まった。
そおだ、2日もブラッシングしてなかったんだ。
ブラシ、どこに置いたかな・・・。
「ココニアルゾ」
顔を上げたガルムさんは、いつもの金のブラシを咥えてた。
・・・どこから出したの。
「ガルムが終わったら私の髪も梳 かしてね。その後、私がシアンの髪を梳かすから」
「・・・はいっ」
結局、お昼になるまで3人でベッドの上にいた。
お詫びとお礼の気持ちを込めて、お昼はたくさん作っちゃった。
普段は食事をしないガルムさんだけど、プリンが好きだって事がわかって、今度は特製プリンケーキを作ってあげる約束をした。
食事をしない喋る狼のガルムさんは、普通の狼じゃなくて魔獣なんだって。
喋ってる時点で普通じゃないのは判ってたけど・・・魔獣なんて、田舎者の僕はもちろん知らなかったから。
さあ、今日からまた、アウルの傍でアウルのお世話を頑張ります!
それから、アウルの目が治った後の事を考えるのはやめる。
だって、もお見られちゃったし。
僕はアウルの事が大好きだから傍にいたい。
だから、こんな僕でも、目が治った後もまた雇ってもらえるよおに、傍に居させてもらえるよおに、精一杯頑張るんだ・・・!
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