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サイズインフィニティ
「それで貴方に胸があったら何カップだという議論でしたね」
甲斐田は鼻血を白いハンカチで凛々しくぬぐう。
鼻血垂らしたおっさんの癖してなんでかっこつけてんだ、くそムカつく。赤くなったハンカチをポケットに突っ込みながら椅子に座り、長い脚を組む。背もたれに深々と腰掛ける姿はわりと様になっている。
赤松も甲斐田の向かい側に腰をかけた。足を少し開いて前のめりになる。
この二人が相対すると妙な威圧感がいつも部屋にたちこめた一応ヤクザの幹部である二人はそこにいるだけでシリアスオーラが湧き出るのだ。存在はギャグテイストだけど。
組の運命を左右するような会議を思わせる重鎮な雰囲気。
これから話し合われるのは、俺におっぱいがあれば何カップだというくだらない議題だということを、忘れそうになった。いっそ忘れてしまいたかった。部屋に帰りたい。
なんでこいつらいい素質持ってんのに残念な方向にしか生かせないんだ。
「ひとまず原点から入ろっかー坊ちゃんにはどの大きさのおっぱいがベストか」
「存分に語りましょう」
「おれほど不憫な高校生っているのかな」
いい歳したおっさん達に、おっぱいつけられた妄想されてるんだよ?いるんだったらこの悲しみを分かち合いたい。あっ同じ境遇にいる男子高校生のほうがよっぽど少ないわ。
誰もこのつらさを共感してくれないんだな。なんか胸がいっぱいになる。おっぱいはできないけど。
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