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服従の証
「あっ坊ちゃんおかえんなさい!」
「……あーおう」
学校から帰ってきた俺を迎えたのは、顔面傷だらけのおっさんや眉間にシワのよったおっさんだった。どこを見てもおっさん、360度どこを見てもおっさん。果てしなくおっさん。
ヤクザの長が住む家なのだから、ここがもう本拠地みたいになってるのは仕方がない。
女の子がほぼいないのも諦めるしかないだろう。しかし、ああこれがフリフリのメイド服を着た美人だったらなぁ。という叶わない願いを囁いてしまう。おっさんが美女に変わればいい。
そうなれば、俺の荒んだハートは、可愛子ちゃん(巨乳)で癒されるだろう。なんて素晴らしきライフ。これ以上妄想すると危ない方向に突っ込んでしまいそうだからやめる。
癒しが欲しいなぁとかふざけたことを考えながら重い扉を開いら10階ぐらいの高さのビル。最上階が俺の家だ。
俺と兄貴と海外に旅行に行っている母親だけとはいえ、事務所と自宅を同じにするとはどういう了見だ。もしカチコミでもあったら巻き込まれる。俺を危険にさらさないでほしい。早く独り立ちしたい理由の一つでもある。
だから嫌でもあいつらと会わなきゃならんのだ。ぶつくさ言いつつ中に入った。
「ただいまー…\…」
「おかえりなさい」
出迎えてくれた男に硬直する。そして無言でドアを閉めようとしたら、素早く足を挟んで閉められないようにされた。畜生なんていう行動力!
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