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大きい子ども

「もうちょい可愛い声だしてほしかったなーきゃっ!とか期待してたんだけどー」 赤松は地味に悲鳴のところで声を高くする。演技派か。口元に手をもっていってぶりっこのポーズ付きという追撃までしてくれた。 おいやめろおっさんの裏声とか気持ち悪い越して兵器なみの破壊力あるから。 回答をオープン!て促したら全員「キモい」の札あげるわ。それぐらいに犯罪的だからなおっさんのぶりっこ。あっこいつヤクザだった。犯罪ギリギリ野郎だったわ。 胃の中のむかつきが激しくなってきた。口を掌でおさえる俺をにやにやと見据えてくる。 確信犯かよ!自分でやってて虚しくならないのか! 「色気ある声希望ーもっかいやる?」 「るせえ!くらえ高校生必死のキック!」 「ぐふっ!椅子を回しながらその遠心力で蹴りを放つとは流石坊ちゃん…ッなかなかきいたよ…」 膝に横蹴りをくれてやると、蹲って震えだした赤松を見下ろす。これが甲斐田ならむしろご褒美になっていたんだろーなって考えると俺の身近にはろくな大人がいないことを知る。なんて虚しい事実。 「ふふー…ベッドの中ではそんな虚勢張ってられるか見ものだねー!」 「一回屋上から飛び降りてきたらどう?」

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