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魔性masochism
しかしながら納得がいかない。
そういうと、甲斐田に首を傾げられる。なにがですか?聞き返された。
俺は甲斐田を殴った。甲斐田は俺に何もしてない。こっちには後ろめたさがあるのに。甲斐田にはない。
天秤にかけると俺のほうが深く沈む。ぎくしゃくしちゃう!主に俺が!毎日顔合わせてる相手にそんなの嫌だった。
「ケジメってものをつけさせろ。お前も俺を一発殴れ」
それでチャラにしよう。提案すると、甲斐田の眉が下がった。明らかに歓迎されていない。
「私に貴方様に手をあげろと?新しい精神的苦痛プレイですか?」
「いや違うけどもね。オアイコってことにしようって言ってるんだよ俺は。ほら好きにしろ」
「好きにしろとは私の下半身の責任」
「その責任はとらないよ!?」
「私にあなたを殴る権利……?いけませんね何だか恥ずかしくなってきた」
「なんで顔赤くしてるんだ?」
「……ならデコピン一つでオアイコにしましょう。それでよろしいですか?」
なんで残念そうなんだお前。興奮した責任って何する気だったんだ?
気になったけど、聞く勇気なんてもん持ち合わせてるはずがないだろ!それにしてもデコピン一つと俺の全力右ストレートを同レベルにする気か!
男としての尊厳をぶち壊された気がしてついもう一度殴りそうになる。我慢我慢。
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